11/5(土)に開催した「多様性がもたらす“弊害”にいかに向き合うか:組織開発によるアプローチ」のアーカイブ動画です。組織の多様性を良いアイデアや成果に繋げていくための「捉え方」と「組織開発の方法論」について、先行研究をもとに深堀りしました。
「多様性がもたらす“弊害”にいかに向き合うか:組織開発によるアプローチ」のチャプター
00:11 イントロダクション・登壇者自己紹介
02:52 CULTIBASE Labの紹介
07:25 本日のテーマ”多様性と組織開発”について・チェックイン
12:50 なぜ多様性と組織開発なのか
25:36 そもそも多様性とは何か
32:21 多様性がもたらしうる「コンフリクト」
42:30 多様性を活かす組織開発の方法論:分化と統合の振動を繰り返す
48:30 2つの「モード」を切り替える
58:42 分化と統合による組織開発事例
01:07:40 ディスカッション:ファシリテーションの勘所を探る
01:22:18 分化と統合を行き来するための見立ての勘所
01:28:15 クロージング
「多様性がもたらす“弊害”にいかに向き合うか:組織開発によるアプローチ 」のポイント
・まず初めに、多様性がある状態とは何か、また多様性が組織にもたらす影響とはどのようなものかを、先行研究を参照しながら深掘りした。そもそも「多様性」には様々な定義があるが、本イベントでは「人が持つ『異なる性質』が認識されている状態のこと」という定義に基づき議論を進めた。ここでいう人が持つ「性質」とは、人口統計学、認知スタイル、技術・知識、価値観、集団共通因子を指し、どの「性質」に焦点を当てるかによって、成果が変わる。
・ただ、多様性は、コンフリクト(衝突/対立/葛藤)と表裏一体の関係だと言われている。さらに、コンフリクトには、「コトに対するコンフリクト」と「ヒトに対するコンフリクト」の2種類がある。「コトに対するコンフリクト」は、適度に存在すると、創造的な成果を生み出す上で有効だと先行研究で明らかになっている。一方、「ヒトに対するコンフリクト」は、成果に対し、悪影響を与える。そのため、視点を「ヒト」から「コト」に引き上げ、健全な衝突を引き起こす必要があると東南は語る。
・では、多様性を組織開発に生かすためにはどうすれば良いのか。東南は「分化と統合の振動を繰り返す」ことが求められると話す。帆船のタッキング*のように、「同質性に着目するモード」と「差異に着目するモード」を、組織の状態に応じて切り替える必要があると伝えた。ただ、2つのモードを切り替える際には、不快感や不確実性が生まれる。そのため、丁寧にそのプロセスを設計しつつも、即興的な対応が肝になるのではないかと伝えた。
*タッキング…帆船が動くメカニズムであり、風向きが帆の片側から反対側に変わるように船を回転させることで、風の方向へ進む手法。クルー同士の緊密な連携とバランスが重要だと言われている。
・また、東南は、2つのモードを、MIMIGURIが掲げるCCMと重ねると理解が深まるのではないかと言い、またMIMIGURIが3ヶ月に1回のルーティーンとして行っている3つの全社会も、階層の異なる主語(組織/チーム/個人)間のタッキングを促す設計になっていると気づいたそうだ。2つのモードをファシリテートする組織開発の勘所は、階層の異なる主語(組織/チーム/個人)を丁寧なプロセスデザインと即興でタッキングすることではないかと伝えた。
・また、分化と統合のアプローチをとるためには、ファシリテーターが重要な役割を担う。他の人よりもいち早く状況を見立て、どうタッキングするかの意思決定が求められる体。これについて、MIMIGURIの全社会の企画・ファシリテートを担う渡邉は、組織として「今学ぶべき学習目標」に焦点を当てているといい、経営/部門・チーム/個人が見ている景色について情報収集しながら、全体最適を考えながら組織に背骨を通すように”見立て”を行っていると伝えた。”見立て”の勘所や、組織開発を担うファシリテーターの暗黙知・身体知について、今後さらに深めていきたいと結んだ。