新しい“ふつうの働き方”を考える:アフターコロナのワークスタイル

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約99分

東南 裕美
東南 裕美
舘野 泰一
舘野 泰一
松下 慶太
松下 慶太

6/19に開催されたイベント「新しい“ふつうの働き方”を考える:アフターコロナのワークスタイル」のアーカイブ動画です。本イベントでは、今春刊行された新著『ワークスタイル・アフターコロナ』の著者・松下慶太先生(関西大学社会学部教授)とリーダーシップ教育や「プレイフル・リーダーシップ」を専門とされている舘野泰一先生(立教大学経営学部准教授)をゲストにお迎えし、アフターコロナのワークスタイルについて探究しました。

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松下先生による話題提供
舘野先生による話題提供
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チャプター

00:11イントロダクション(イベント趣旨・登壇者紹介)
10:00 話題提供「ワークスタイル・アフターコロナ -新しいふつうの働き方」
・経営に効くメディア論 -働き方の実践・研究にメディア論の視点が必須になる時代
・オフィスのこれから
・ハイブリッド・ワークの時代
・ワーク・スタイリングの時代
40:34 舘野先生からのコメント -越境学習・プレイフル・リーダーシップなどの観点から
59:44 パネルディスカッション
01:29:22 ラップアップ

<今週のポイント>
・SNSなどの「n対n」のメディアにおいては、ユーザーがいま、ここ”において“重なり、フィットしている”ことが重要視される。
・つながりが常態化する中で、働き方においては「つながることを前提にどうつながらないか?」を考える必要が生じている。
・「ハイブリット」型への注目が集まる中で、自らの「ワーク・スタイリング」を確立することへの重要性が高まっている。そしてその背景には「Place based Workstyle(場所に基づいた働き方)」から「Style based Workplace(スタイルに基づいた働く場所)」へと社会的な価値観の変容がある。
・「ワーク・スタイリング」の確立において重要なポイントは3つ。一つは「Work from Home」から「Work from X」への移り変わり。2つ目は「Superimpose(重ね合わせる)」感覚の獲得。3つ目は、情報・コミュニケーションとの接触のあり方を「筋トレ(能力を高める)・ストレッチ(方向性を増やす)・マッサージ(付き合い・扱い方を変える)」のように捉える視点。
・舘野先生は、松下先生の話題提供に対するコメントとして、二者択一の「カテゴリ型の働き化」から、様々な要素が重なり合う「タグる働き方」への移り変わりを指摘。また、こうした働き方には良いところもあるが、ややこしいこともあると言う。
・自身のワークスタイリングの価値は、外部の基準では判断しにくく、自分自身で判断基準を持つ必要のある主体的な行為である。また個人が越境を通じて様々な「タグ」を獲得し、組織内においてもタグで繋がり、やっているうちに意味やプロジェクトが立ち現れるような関係性のもとで活動が行われる。
・個人のワークスタイルの確立に必要な要素としては、一つの共同体の中では認められなくとも、複数の共同体に関わりながら、プレイフルな内発的動機のもとでワークスタイルを追求することが大切となる。
・リモートという選択肢が出てきたことで、「オフラインで集まる」ことに理由や意味付けが必要になった。その「なぜ?」に答えず、強制力を無理に発揮すると、人の心が離れていくこともあるだろう。
・多様さの中で「なぜ?」を合意していく対話は今後ますます重要になってくる。それもただ闇雲になんとかしようとするのではなく、制度や文化、テクノロジーを複合的に駆使しながらハードルを下げていく姿勢を持つことが重要である。

今回の研究会のテーマは「アフターコロナのワークスタイル」。一見すると時事性が高く、CULTIBASEとしては珍しい種類のコンテンツのように思えるかもしれません。しかしながら、大人や組織における学習を考える上で、「越境的な働き方」は非常に重要なキーワードと言えます。

トップダウン的に学ぶべき対象が明示される旧来の組織とは異なり、これからは自分たちにとって必要な学びを自分たちで生み出していくことが求められます。ただ一つの場所にとどまっているだけでは、画一的な学びしか得られません。組織の外にも越境しながら、各々が越境先での学びを組織に持ち帰り、コラボレーションを起こしていくような学び方が重要になると感じています。

こうした前提を緩やかに共有しながら、そのために必要な位置づけを探っていくのが今回のイベントの主な趣旨となります。前半の松下先生の話題提供に加え、後半移行の舘野先生も交えたディスカッションでは、「シェアド・リーダーシップ」や「プレイフル」、そして「対話」などこれまでCULTIBASEでもたびたび取り上げてきた概念を切り口に、様々な観点から、今後働き方、そして職場の学びをデザインする上でのポイントが語られています。

▼参考:

変化する時代に求められる「新しいリーダーシップ」の考え方とは?:連載「リーダーシップ教育の最前線」第1回

変化する時代に求められる「新しいリーダーシップ」の考え方とは?:連載「リーダーシップ教育の最前線」第1回

▼参考:

プレイフル・アプローチを5つの視点から掘り下げる

プレイフル・アプローチを5つの視点から掘り下げる

ぜひ今回の研究会を起点として、上記のような他のコンテンツにも目を向け学びを深めてみてもらえたらと思います。

チャプター

00:11イントロダクション(イベント趣旨・登壇者紹介)
10:00 話題提供「ワークスタイル・アフターコロナ -新しいふつうの働き方」
・経営に効くメディア論 -働き方の実践・研究にメディア論の視点が必須になる時代
・オフィスのこれから
・ハイブリッド・ワークの時代
・ワーク・スタイリングの時代
40:34 舘野先生からのコメント -越境学習・プレイフル・リーダーシップなどの観点から
59:44 パネルディスカッション
01:29:22 ラップアップ


出演者

東南 裕美
東南 裕美

リサーチャー / ファシリテーター

立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科博士前期課程修了。立教大学大学院経営学研究科博士後期課程在籍。人と組織の学習・変容に興味を持ち、組織開発が集団の創造性発揮をもたらすプロセスについて研究を行っている。共著に『M&A後の組織・職場づくり入門:「人と組織」にフォーカスした企業合併をいかに進めるか』がある。

舘野 泰一
舘野 泰一

1983年生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒業。東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学後、東京大学大学総合教育研究センター特任研究員、立教大学経営学部助教を経て、現職。博士(学際情報学)。専門はリーダーシップ教育。近著に『パラドックス思考 ─ 矛盾に満ちた世界で最適な問題解決をはかる』『これからのリーダーシップ 基本・最新理論から実践事例まで(共著)』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

松下 慶太
松下 慶太

関西大学社会学部教授

関西大学社会学部教授。1977年神戸市生まれ。博士(文学)。京都大学文学研究科、フィンランド・タンペレ大学ハイパーメディア研究所研究員、実践女子大学人間社会学部専任講師・准教授、ベルリン工科大学訪問研究員などを経て現職。専門はメディア論、コミュニケーション・デザイン。近年はワーケーション、コワーキング・スペースなど新しいワークプレイス・ワークスタイルと若者、都市・地域との関連を研究。近著に『ワークスタイル・アフターコロナ』(イースト・プレス、2021)、『モバイルメディア時代の働き方』(勁草書房、 2019、 テレコム社会科学賞入賞)、分担執筆に「Workations and Their Impact on the Local Area in Japan」(Orel et al. 2021)など。