組織の他者といかに出会うか:批評から創造を生むファシリテーションの術(すべ) 

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約93分

8/13(土)に開催された組織の他者といかに出会うか:批評から創造を生むファシリテーションの術(すべ)のアーカイブ動画です。ゲストに北野諒さん(元:大阪成蹊短期大学 幼児教育学科 講師、2023年度より京都文教大学 こども教育学部こども教育学科 講師)をお招きし、他者との出会いをきっかけとした創造性について、ファシリテーションの術(すべ)を切り口に探求しました。

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チャプター

00:11 イントロダクション
07:40 チェックイン・登壇者自己紹介
20:37 本日のテーマについて
29:31 他者との出会いから創造を生む術(すべ):2つの作品から考える
47:17 批評から創造を生むファシリテーションの術(すべ)
58:00 術(すべ)とは何か・ファシリテーションとの関係性
01:12:17 補足:他者の術(すべ)をいかに発見するか
01:18:06 ディスカッション:術(すべ)と癖の違い・フィードバックのポイント
01:32:09 ラップアップ・今後のイベントについて

今週のポイント

・まず、本イベントのコンセプトを確認した。昨今注目を集めるアート思考は、自己の独自性を源泉とした創造性の発揮を目指す一方、本イベントでは、他者との出会いを契機とする創造性のあり方を探る。
・他者との出会いから創造性を生むためのヒントとして、北野さんは自身が師事する藤本由紀夫さんの作品を紹介した。

・藤本さんの作品の手法的な特徴は「発見(discover)」にあると北野さんは言う。すでに周囲に存在しているはずの「他者(異質なもの・こと・人)」の覆いを剥がす(dis-cover)ことで、見慣れていたものに隠されていたものを「発見」し、時にはそれらを組み替える(separation / conjunction)ことで、新たな気づきや概念を生み出すきっかけをつくっている。
・また、藤本さんの手法を応用し、日常生活で組織内の「他者」の覆いを外し、発見する(discover)にあたって、北野さんは「批評」が有効だと語る。ここでいう批評は「対象について、いろいろな解釈の可能性を考え、思考を展開する」という意味であり、例えば、自分が所属する組織から連想される5つの言葉を挙げ、そのいずれかについて批評してみる。すると、今まで見えなかった組織の可能性が見えるのではないかと北野さんは解説する。
・他にも複数のコンセプチュアル・アートの作品を紹介しながら、見慣れている人やモノに「他者」として改めて出会うために、どのような術(すべ)がありうるのか、また、組織内でどのように応用可能か深掘りした。
・たとえば北野さんは、藤本さんからの指摘をきっかけに、異質なものを「おく(措く・置く・擱く)」ことに自身の「術(すべ)=arts」があるのだと気づいたと言う。こでいう「術(すべ)」とは、「高度に抽象化・複層化された物事の見方や考え方、やり方」を指し、多くの人が自覚的に、あるいは無自覚な「癖」として行っているという。そして、ファシリテーションとは「他者が自分自身の術(すべ)を開花させるための産婆術」なのだと北野さんは述べる。

・自分の術(すべ)を自覚すると、様々な場面で応用することができる。北野さんは、ファシリテーションによって組織のメンバーそれぞれの術や、自分の術を見出すことができるのではないかと言う。

出演者

臼井 隆志
臼井 隆志

学生時代から現代美術家や劇作家らと協同し、幼児から中高生、大人までが関わるアートプロジェクトのプロデュース、ファシリテーションを担ってきた。MIMIGURIでは主にワークショップを通じた組織文化開発や人材育成の教材開発を担当している。

北野 諒
北野 諒

京都文教大学 こども教育学部こども教育学科 講師

京都芸術大学アート・コミュニケーション研究センターにて研究員を前任し、学校・美術館・博物館・地域芸術祭など様々なフィールドで、対話型鑑賞を応用したワークショップの開発・実践を行う。現在は研究テーマを「関係の造形」として、幼児の表現活動や遊びを手懸りにしながら、非言語的な交感までを含めた対話のかたちを探求している。直近のファシリテーションの事例として、「社会・人のための美術教育?:美術教育の未来に向けた疑問符」(美術科教育学会リサーチフォーラム、2022)の企画・運営・登壇がある。