なぜM&Aはうまくいかないのか:異なる組織文化を統合する組織開発の方法論

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約99分

6/4(土)に開催された『なぜM&Aはうまくいかないのか:異なる組織文化を統合する組織開発の方法論』のアーカイブ動画です。成功率が40%にも満たないとも言われているM&A。互いの組織文化を統合し、シナジーを発揮するためアプローチについて、理論と実践の両面から探究します。

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チャプター

00:11 イントロダクション
06:49 チェックイン・本日のテーマについて
14:30 M&Aとは何か・なぜM&Aは難しいのか
25:07 M&A後の統合プロセス(PMI)・M&A前夜に取り組むアクション
36:42 M&A直後に取り組むアクション・3ヶ月後以降に大事にしたいアクション
47:10 MIMIGURIの合併プロセス – 解凍フェーズ
01:00:25 MIMIGURIの合併プロセス – 変化・再解凍フェーズ
01:08:51 異なる組織文化を統合するコツ
01:17:38 事例:MIMIGURI channelの取り組みと狙い
01:29:25 ラップアップ・今後のイベントについて

今週のポイント

・経営戦略の一つとして一般化しつつあるM&A。しかしながら、その多くが「適応課題*」のせいで、うまくシナジーを発揮できないでいる。こうしたM&Aを「もったいないM&A」と定義し、組織変革のプロセス:解凍(準備)・変化(変革実施)・再凍結(定着)を参考にしながら、打開策を探求した。
*問題の当事者が信念や価値観を変え、適応することによってのみ解決できる問題

・まず、M&Aの準備期(解凍)では、目的とビジョンの明確化が何よりも重要だ。M&Aを聞いた社員は「自分(や自分の仕事・職場)がこの先どうなるのか」という不安を大きく感じているため、経営層・マネージャーからの新会社や自部署を主語とした語りが鍵となる。
・M&A直後(変化)は、組織に緊張が走り、言葉に敏感になってため、この時期ならではの配慮をした組織開発が必要だ。特に業務のオペレーションを統合する際は、互いを尊重し、やり方/価値観/歴史的背景を併せて伝えていく必要がある。
・M&A後3ヶ月以降は、組織が徐々に落ち着き、メンバーが今後の身の振る舞いを考え始める(再凍結)。そのためミドルマネージャーは、下図右側の人材マネジメント領域を意識しながら、M&A後の組織においての、自部署・メンバーの新しい可能性を模索し、定着支援を行うことが重要だ。

・最後に、MIMIGURIの合併プロセスや施策(マネージャーキャンプや、MIMIGURI Channel 他)を振り返りつつ、異なる組織文化を統合する4つのコツ:①早期にシナジーを実感・ビジョンを提示 ②組織開発はマネージャー起点を基本とする ③大きな組織開発の中で、ミニ組織開発のサイクルを回す ④個人に焦点を当てた緩いネットワークの形成 をまとめた。

出演者

和泉 裕之
和泉 裕之

日本赤十字看護大学卒業。在学時から「対話(dialogue)」という物事への意味付けに着目したコミュニケーション手法に関心を持ち、ワールドカフェやOSTなどの対話の場作りを多数実践。卒業後はフリーランスファシリテーターとして4年間の武者修行を経験した後、株式会社ミミクリデザインの立ち上げに参画。少人数〜数万人規模の組織にて、組織理念のデザインや浸透(自分ごと化)を対話型ワークショップで支援するコンサルティング業務に従事。現在は専任の組織人事として社内の組織開発/人材育成を担当している。

東南 裕美
東南 裕美

リサーチャー / ファシリテーター

立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科博士前期課程修了。立教大学大学院経営学研究科博士後期課程在籍。人と組織の学習・変容に興味を持ち、組織開発が集団の創造性発揮をもたらすプロセスについて研究を行っている。共著に『M&A後の組織・職場づくり入門:「人と組織」にフォーカスした企業合併をいかに進めるか』がある。