事業開発における提供価値の捉え方 -顧客と新たな関係性を紡ぐための「山の図」の提案

/

約104分

事業をつくる

#事業開発
#アイディア
#ジョブ・クラフティング
小田 裕和
小田 裕和

8/21に開催されたイベント「事業開発における提供価値の捉え方 -顧客と新たな関係性を紡ぐための『山の図』の提案」のアーカイブ動画です。本イベントでは『ジョブ理論』を手がかりに、人々のビジョンの実現に寄り添い続ける事業開発の見取り図である「山の図」について、株式会社MIMIGURIの小田裕和が解説します。

資料

講義パートで使用した資料はこちら
※遷移がうまくいかない場合は、真っ白な画面が表示されたのち、ページを更新していただくと、閲覧できるようになります。

チャプター

00:11 イントロダクション(イベント趣旨・登壇者紹介)
15:43 山の図のベースにある「ジョブ理論」とは
43:35 顧客への提供価値を整理するための見取り図「山の図」の提案
01:16:05 Q&A・ディスカッション
01:30:48 お知らせ・アフタートーク

<今週のポイント>
・ビジネスモデル検証の最初のステップとして、「Costomer Problem Fit(CPF)」の定義が挙げられる。顧客は誰か、また何を考えているか。あるいは、どんな課題を抱えているか。それらの本質を捉えるための考え方の一つに、クレイトン・クリステンセンが提唱する『ジョブ理論』がある。
・クリステンセンは「ジョブ」について、人々が商品やサービスを通じて実現したい進歩を妨げるものと述べている。ジョブを定義することで、顧客が解決したい課題を、その製品・サービスの前提抜きで考えることができる。また、商品の仕様や競合するサービスを適切に捉え、より深く事業価値の検討が行えるようになる。
・小田は『ジョブ理論』をさらにアップデートするための視点として、「単にジョブの解決することに焦点を当てるのではなく、そのジョブの解決が本当に対象となる人のためになるのか」や、「その人がどうなって欲しいのか、「愛のあるギフトを届ける」目線を持つ必要があるのではないか」と指摘する。そして、それら観点についてチームで対話的に理解を深めるためのフレームワークとして、「山の図」を提唱した。
・「山の図」は、「喜ばせたい人」が「どうなりたい/どうなってほしいのか(ビジョン)」、「そこに向かう過程でどんな障壁を抱えているのか(ジョブ)」、「その障壁をどのように乗り越えたいのか(ニーズ)」などの要素によって構成される。「山の図」によって、ジョブを他の要素との比較の中でわかりやすく捉え、豊かな事業価値に創造に活かしていける。
・どの程度高さの目標にどの”道”で向かうのかなど、山をメタファーにすることで、より立体的なプロセスの検討が可能となる。正解があるというよりも、自分たちのチームの中でこの図をもとに対話を重ねることで、自分たちに合った提供価値を深くまで探究し、分かち合うことができるようになる。

事業開発に携わる中で、自分たちが提供する商品やサービスが人々を真の意味で豊かにしているかどうかは、組織や個人として常に持ち続けていたい視点の一つです。また、変化の激しい現代では、刻一刻と変わり続ける生活環境に対応するため、提供価値を定期的に問い直し、必要に応じて軌道修正することも大切です。社会に生きる人々にとって大きな、また、自分たちが提供したいと思えるような価値を自社商品・サービスの中にどう見出すのか。本イベントでは、こうした難題に対する新たなアプローチを、株式会社MIMIGURIの小田裕和が、「山の図」を用いて解説しています。

イベントの途中でさり気なく、「商品・サービスを”愛のあるギフト”として提供できているか?」という視点が登場します。この”愛のあるギフト”というのは、小田が専門とする「意味のイノベーション論」の提唱者であるロベルト・ベルガンティが好んで用いたフレーズです。値段の安さや利便性といった即時的な価値だけではなく、創り手が”ギフト”として届けたいと思えるような新たな意味を起点に製品を開発するのが意味のイノベーションの最初のステップであり、今回の小田の考え方とも通底するものを感じます。

▼意味のイノベーション概論

意味のイノベーション概論

意味のイノベーション概論

また、今回新たに提唱する「山の図」に関する解説の中で、フレームワークとの向き合い方に関する議論が展開されている点も、本イベントの見どころの一つでしょう。フレームワークは、(少なくとも今回の「山の図」については)正解を導き出すためのものではなく、対話を深めるための「たたき台」であり、チームでそれぞれのものの見方を共有するための「見取り図」だと小田は語ります。こうした視点は、事業開発を集団的・協働的に推進していく中で、非常に重要なポイントと言えそうです。

ぜひ皆様も、「山の図」を用いて、自分たちの組織の提供価値について、多角的に問い直してみてはいかがでしょうか?

出演者

小田 裕和
小田 裕和

千葉工業大学工学部デザイン科学科卒。千葉工業大学大学院工学研究科工学専攻博士課程修了。博士(工学)。デザインにまつわる知を起点に、新たな価値を創り出すための方法論や、そのための教育や組織のあり方について研究を行っている。特定の領域の専門知よりも、横断的な複合知を扱う必要があるようなプロジェクトを得意とし、事業開発から組織開発まで、幅広い案件のコンサルテーション、ファシリテーションを担当する。主な著書に『リサーチ・ドリブン・イノベーション-「問い」を起点にアイデアを探究する』(共著・翔泳社)がある。