事業・サービスが組織に根付くためのデザインとは?:持続的な価値共創のためのシステムデザイン

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約107分

事業をつくる

#サービスデザイン
瀧 知惠美
瀧 知惠美
坂口 和敏
坂口 和敏

11/6(土)に開催された「事業・サービスが組織に根付くためのデザインとは?:持続的な価値共創のためのシステムデザイン」のアーカイブ動画です。ゲストに坂口和敏さん(山口大学 国際総合科学部 准教授)にお越しいただきました。

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チャプター
00:11 イントロダクション(登壇者紹介・チェックイン)
13:10 サービスデザインの概要
23:24 事例紹介:事業創造/事業変革としてのサービスデザイン
27:25 サービスデザインへの期待と現実
38:15 システムデザインとは何か?:「秩序」と「制約」から考える
48:41 秩序としてのアーキテクチャ:「建築」の思考を応用する
54:31 「サービスをシステムデザインする」とはどういうことか?
01:04:09 サービスデザイン×チームづくりの実践と研究
1:09:29 質疑応答(1)
1:20:42 パネルディスカッション
1:30:45 今後のイベント・質疑応答(2)

<今週のポイント>
・サービスデザインは、新たな価値共創のプロセスに利害関係者を巻き込みながら、より望ましいサービスや事業の創出を導く方法である。近年では、デジタル化社会を実現する方法論として注目を集めるサービスデザイン。この「サービス(利用価値)」とは、「製品(所有価値)」と「ビジネス(事業)」を繋ぐ役割を担っている。ただし、有形の製品と異なり無形であるため、その設計には困難さが伴う。
・製品の価値が提供者(事業者)側で創られる一元的なものであるのに対し、サービスの価値は顧客者によって多様に創られる。サービスには複数の要素を調整する必要があるため、サービスデザインは全体像が見えにくい。
・こうしたサービスの輪郭を捉えるために、システムデザインの観点が有効である。この場合のシステムは「(1)システム全体の構造」「(2)システムと周囲との秩序関係」「(3)システム内部の要素間の秩序」の3つの秩序によって構成されている。システムデザイン的な視点とは、すなわちこれらの観点からシステムを捉えることといえる。
・またシステムは「目的ー手段」による階層状に構成される。その際、上位システムの目的に向けた手段が、下位システムにとっては目的となる。結果的にシステムは目的と手段が連鎖的に連なる形となると同時に、全体を統合する大きなシステムの中に、要素を統合する小さなシステムが内包される入れ子構造となる。

・システムや、システムを構成する要素の適切な関係を「秩序」とした時に、「秩序」を維持するための「制約」が発生する。また、システムは入れ子構造なので、大きなシステムにおける「秩序」が、その内側の小さいシステムにとっては「制約」として機能する。

・一般的なデザインの制約には、価格、サイズ、強度、時間などのほか、デザイナーとしての倫理や経験や知識もとづく直感なども該当する。こうした中で、サービスデザインにおけるシステムの制約は、仕様とした定められた概念を実態化する動きと、サービスが用いられる実際の状況との相互的な関係の中で創造される。
・こうした「秩序」の設計は、建築の考え方に基づいている。建築では、まず最初に核となるイメージ(内部要求)と、立地や予算、インフラ、法律(外部要求)の間で板挟みになりながら、どちらの要求も高度に両立することが求められる。現代においては、内外の変化に強い仕組みづくりの考え方として、こうしたアーキテクチャ的な思考がデザインやイノベーション領域でも注目を集めている。
・サービスデザインにおいても、組織の外部に位置する提供者と内部に位置する利用者との相互作用によって価値共創が行われることから、先述のアーキテクチャ的な思考が応用可能となる。ただし、そのためには矛盾や緊張を含む関係性が前提となり、単なる「調和」を目標とするわけではないことに注意する必要がある。
・サービスを取り巻く関係性は常に変化するものである。そうした中で、より変化に対応するために、提供者が規定したシステムを前提とする「クローズドシステム」から、利用者がシステムを規定し、外部のシステムとの接続を柔軟に行う「オープンシステム」へと移行する動きが加速している。そして、システムを柔軟に変更するためのアプローチとして、アジャイル的に変化を管理するマネジメントの重要性が高まっている。
・こうした変化に対応するための動きとして、瀧は自身が行ってきたリフレクションを起点とした組織開発の取り組みを示しながら、「変化していく要素を見極めながら、状況にあったサービスづくり×組織づくりの方法を取り入れていかなければ、持続可能なサービス運営は難しい」と指摘する。また、変化に対する認識を揃えるコミュニケーションも不可欠であり、言語的・非言語的関わらず、様々なアプローチを模索していく必要があるだろう。

イベント概要
ーーモノづくりからコトづくりへ。
商品開発やマーケティングなどの領域では今や定番のこのフレーズは、SNSが浸透し始めた2010年前後に広く普及したと言われています。それからおよそ10年が経つ中で、顧客とプロダクトとの関係性の中での「価値ある体験の共創」を目指す事業創出の方法論は、現在サービスデザインの領域を中心に研究と実践が進められています。

企業におけるサービスデザインの事例におけるよくある落とし穴の一つに、「サービスと組織がうまくフィットしない」問題が挙げられます。例えば最新のIoTサービスを導入したとしても、その製品が持つ機能や促している行動が、母体となる組織の仕組みや文化、習慣と相容れなければ、今ひとつ定着せずに終わってしまいます。

新たに実装されたサービスが持続的に運用され、日常における様々な変化にも対応していくためには、「プロダクト」「サービス」「ビジネス」の3つの観点を総合的に捉えながら、柔軟に調整していくことが重要です。

今回のイベントは、ゲストに山口大学 国際総合科学部 准教授・坂口和敏さんをお招きし、MIMIGURIの瀧知惠美とともに、「事業・サービスとその基盤となる組織を結びつけるデザイン」について探究します。坂口さんは昨年まで富士通株式会社デザインセンターでサービスデザインの責任者を務め、現在はサービスデザインとシステムデザインの繋がりを専門とする研究者として活躍されています。瀧は、前職とMIMIGURIで多様なサービスデザイン、組織開発のプロジェクトに参画しながら、東京藝術大学デザイン科修士課程で研究テーマとした「ふり返りの対話の場づくり」に関する研究活動を続けています。

今回登壇する二人は、企業での経験に加えて、研究者としてのバックグランドも持っています。前半の話題提供では企業とアカデミックにおける最新の事例や研究的知見を共有したのち、後半以降はパネルディスカション形式で組織の中で持続的に運用され続けるサービスデザインについて、「事業・サービス」と「組織」双方の視点を往復しながら、理解を深めていく予定です。

事業づくりと組織づくり、どちらか一方に携わる方が新たな視点を獲得し、より良く連携するための知見をお届けします。興味のある方はぜひご参加ください。

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出演者

瀧 知惠美
瀧 知惠美

多摩美術大学情報デザイン学科卒業。東京藝術大学デザイン科修士課程修了。多摩美術大学、東海大学非常勤講師。ヤフー株式会社にて複数サービスのUXデザインを担当した後、UXの社内普及のためワークショップ型の研修やUX導入から組織浸透までの実務支援を主導。UX実践を成果へ結びつけるため、チームづくりのためのふり返りの対話の場づくりの実践および研究を行う。MIMIGURIでは、UXデザイン・サービスデザインをはじめとする事業開発を中心に担当。よりよいユーザー体験につながるモノ・コトを生み出すために、つくり手の体験も重要と考え、事業開発と組織開発の組み合わせ方を実践と研究の両軸を重視しながら探究している。

坂口 和敏
坂口 和敏

山口大学 国際総合科学部 准教授

デザイン会社、建築アトリエを経て、2006年富士通株式会社デザインセンター入社。イノベーションデザイン、UX、サービスデザインのデザインディレクターとして様々なプロジェクトに従事。国内外の様々なデザインアワードを受賞。2020年9月より現職。社会実践を基軸とした総合知に基づく学際的デザイン理論を研究中。九州大学大学院、武蔵野美術大学非常勤講師。博士(システムデザイン・マネジメント学)、一級建築士。