仕事の「遊び」論 – 仕事が面白くなるメカニズムを探究する

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約91分

和泉 裕之
和泉 裕之
渡邉 貴大
渡邉 貴大
神谷 俊
神谷 俊

11/20(土)に開催された『仕事の「遊び」論 – 仕事が面白くなるメカニズムを探究する』のアーカイブ動画です。ゲストは『遊ばせる技術』の著者・神谷俊さん(株式会社エスノグラファー代表取締役・バーチャルワークプレイスラボ代表)です。

資料こちら
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チャプター
00:11 イントロダクション(登壇者紹介・チェックイン)
12:02 ゲスト・神谷俊さんの経歴
17:20 仕事に遊びが必要な背景:「管理のエスカレーション」問題
33:20 今の時代に求められる「自律」とは何か?
44:25 遊びのスイッチはどこにあるのか?
51:58 遊びのメカニズム
01:02:53 遊びを生み出すためのポイント
01:09:09 組織による「遊び」を重視しした取り組み事例
01:12:55 ディスカッション
01:26:31 関連コンテンツ・今後のイベントのお知らせ・チェックアウト

<今週のポイント>
・昨今、高まりつつある「遊びが大切だ」という声。その根底には、管理のエスカレーションをはじめとする問題意識がある。
・一般にテクノロジーは、働き方や仕事内容の多様さを支える存在だが、その対象はルーチン化された業務だ。そのため、非ルーチン業務の負担はマネージャーに集中して疲弊を起こし、結果としてメンバーの「自律」の重要性が高まっている。
・自律をめぐる企業の対応は、「型を減らす」自律性の強化と「型を増やす」コントロールの強化という二つの対極に分かれる。多くの企業では、後者の方針が多く採用されており、意図せず現場のメンバーを疲弊させてるケースもある。この場合、大切なのは「自律」の意味を適切に理解することだ。
・Deci &Ryan (2012)によると、自律には5つのレベルがあると言われている。責任感・規則によって自分をコントロールしている自律レベルの低い状態(Driven to work)から、仕事を自分事化して楽しんでいる自律レベルの高い状態に上げていくために、遊びが重要になる。
・人間はなぜ遊ぶのだろうか?キャッチボールの距離が開いていったり、慣れたらブランコをより危険なやり方で乗ろうとしてみたり。より難しいものへの挑戦が刺激を生み、それによって私たちはポテンシャルを十分に発揮できるようになる。これを人間は面白いと感じるのだ。
・また、遊びにはメカニズムがある。現実社会から「隔離・逃避」、世界観に浸る「世界参加・世界構築」、自由と権利を獲得して「主人公になる」こと、そして働きかけたり働きかけられたりする「相互作用」のなかで、「没入」していく。また、現実社会を意識すると遊べない一方で、遊びには現実的な制約も必要だ。
・また、遊びを生み出すポイントは「どういう行動をデザインすべきなのか」というミクロの視点、「どうマネジメントするのか」というメゾの視点、「どういう組織文化が適切なのか」というマクロの視点で包括的に考えることが大切だ。

仕事に遊びは必要か。そのように問われた時、皆さんはどのように考えるでしょうか。大前提として、仕事の中でどれくらい「遊べる」かは、業務の内容や組織の風土によって異なります。個人の特性の違いもあるでしょう。ディスカッション・パートの中で神谷さんも語っていますが、すべての業務が遊び的に取り組めるわけではありません。

重要なのは、遊び的に取り組むかどうかではなく、何をどれだけ遊び的に取り組むのかを判断する軸を持つことではないでしょうか。遊びと仕事を二元的に捉えるのではなく、課題に応じて遊び的な振る舞いを引き出すこと。それこそが「自律的な働き方」につながってくるのだと、神谷さんのお話しを聞きながら感じました。

組織や社会の複雑な問題と向き合う上では、守るべき要件と、そうでない要件を自分自身で判断し、進めていく必要があります。また、これらの要件は他者との関係性の中でも変化します。すなわち、「遊び的に働く」とは、常に揺れ動く要件という枠組みを正確に把握し、逆にその枠組みに対して主体的に働きかけながら、創造的に課題解決を行うこととも言い換えられます。

しかし、壊す対象としての枠組みを一人で判断するのは危険です。取り返しのつかない事態を招くかもしれません。そのため、マネージャーの立場でいえば、メンバーが安全に創造的に取り組める場をつくるためには、まずは枠組みをともに見つめる機会を創ることが大切になるのだと思われます。

下記ではこうした「遊び」や「ルール」について考える上で参考になる動画や記事を関連コンテンツとして紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。

▼コンテンツパッケージ『遊びのデザイン』

職場の創造性を高めるルールのデザイン

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メンバーの主体性発揮や働きがい向上をマネジメントするには?:ジョブ・クラフティング研究からヒントを探る

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出演者

和泉 裕之
和泉 裕之

日本赤十字看護大学卒業。在学時から「対話(dialogue)」という物事への意味付けに着目したコミュニケーション手法に関心を持ち、ワールドカフェやOSTなどの対話の場作りを多数実践。卒業後はフリーランスファシリテーターとして4年間の武者修行を経験した後、株式会社ミミクリデザインの立ち上げに参画。少人数〜数万人規模の組織にて、組織理念のデザインや浸透(自分ごと化)を対話型ワークショップで支援するコンサルティング業務に従事。現在は専任の組織人事として社内の組織開発/人材育成を担当している。

渡邉 貴大
渡邉 貴大

ファシリテーター

早稲田大学商学部卒業。規模/業態の異なる複数の組織において、人事やコンサルタントとして業務に従事。チェンジ・エージェントとして組織変革のファシリテーションを実践してきた。MIMIGURIでは個人と組織が自らの「story writer」となり、自分や自分たちの物語を紡ぐ機会を演出する組織・事業開発、イノベーションプロジェクトのPMとファシリテーションを担当している。

神谷 俊
神谷 俊

法政大学大学院経営学研究科 修士課程修了。修士(経営学)。2016年9月に株式会社エスノグラファーを創業。人事・組織領域やマーケティング領域において、エスノグラフィーを中心に据えた複眼的なリサーチ&コンサルティングサービスを展開してきた。2020年4月に新たにVirtual Workplace Lab.を発足。リモートワークに従事する従業員のリスク抽出や、バーチャルワークプレイスを展開する企業の組織課題抽出に特化したサービスを提供する。その他、面白法人カヤック、GrooveX、インターステラテクノロジーズなどの外部アドバイザーとして、貢献。著書に「遊ばせる技術 チームの成果をワンランクあげる仕組み」がある。