問題の本質を捉える「素朴思考」と「天邪鬼思考」
問題の本質を捉える「素朴思考」と「天邪鬼思考」

問題の本質を捉える「素朴思考」と「天邪鬼思考」

2021.03.01/3

組織ファシリテーターとして良い「問い」をデザインする第一歩は、問題の本質を探り、本当に取り組むべき課題を定義することです。

問題の本質を捉えるために有効な思考法はいくつかありますが、書籍『問いのデザイン』で解説した方法論のなかでも汎用性の高い「素朴思考」「天邪鬼思考」の2つについて解説します。

目次
「素朴思考」とは何か
「天邪鬼思考」とは何か


「素朴思考」とは何か

「素朴思考」とは、文字通り、問題状況に対して素朴に向き合い、問題を掘り下げていく考え方です。ふと湧き上がった「素朴な疑問」を投げかけながら、当事者から語られる言葉の意味や、言葉と言葉の関係性について、率直に「わからないこと」をベースに問題の輪郭を掘り下げていきます。

目の前に見えていること、聞こえていること、実際に起きている現象に対して「これはなんだろう?」「どうしてだろう?」と、好奇心を持ちながら、問題に対する理解を深めていくようなイメージです。

素朴な疑問が思い浮かばない場合は、一般的によく用いられる「5W2H(Why、Who、When、Where、What、How、How much)」のような質問フレームを活用してもよいですが、無理に質問を拡げようとするよりも、素朴に気になったこと、好奇心が湧いたことを中心に掘り下げていくほうが、問題の理解が「自分ごと」になりやすいはずです。頼りにすべきは「目」や「耳」、自分自身の感覚です。つぶさに対象を観察しさえすれば、素朴な疑問は自然と湧いてきます。

素朴思考において意識すべき点は、「良い問い」を考えようとしないことです。問いは、それに答えようとする過程で、別の新しい問いを生み出します。何かがわかると、別の何かがわからなくなるのが、人間の理解の本質だからです。問題の理解を深めるこの段階では、「良い質問かどうか」について考える必要はありません。まずは素朴に湧き上がった問いたちを出発点として思考を巡らせたり、思い切って問題の当事者にぶつけたりしながら、その過程で問いを育てていけばよいのです。

「天邪鬼思考」とは何か

天邪鬼思考とは、素朴思考とは裏腹に、目の前の事象を批判的に疑い、ある意味“ひねくれた視点”から物事を捉える思考法です。

「天邪鬼」とは、民話に出てくる妖怪のことで、神や人間に対して反抗精神を持っており、意地が悪く、それでいて人の心中を探るのが上手だったとされています。そのため、現代では、合理的に正しいとされている意見を疑ったり、多数派に同調せずにあえて反対をしたりする性格のことを「天邪鬼な性格」として表現します。

天邪鬼思考は、素朴思考と並んで、課題の定義に向けて問題状況を問い直すための基本的な思考モードです。この2つはバランスがとても重要です。目の前の問題状況を素直に問うていく素朴思考だけでは、好奇心にしたがって問題を掘り下げていくことはある程度できても、当事者たちにとっての盲点を突いたり、多角的な視点からの吟味を重ねたりすることには向いておらず、“優等生”的な課題設定に陥ってしまうリスクもあるからです。

素朴思考では「わからないことを探求する」姿勢で問いを生成しましたが、天邪鬼思考では、ステークホルダーの認識を批判的に捉え、語られていない盲点や、物事の裏側を見ることに徹します。

ただし、天邪鬼思考に傾倒しすぎてしまうと、関係者を動機づけるようなポジティブな課題設定がしにくくなってしまうデメリットがあります。

素朴思考と天邪鬼思考は、バランスが大切です。素直な視点と、批判的な視点を織り交ぜて、問題の理解をさまざまな視点から立体化させ、問題の本質を掴み、課題定義へと落とし込んでいくことが、組織ファシリテーターとしての問いのデザインの第一歩なのです。


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