ナレッジマネジメント入門:知が循環する組織をつくる

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約92分

1/21(土)に開催した「ナレッジマネジメント入門:知が循環する組織をつくる」のアーカイブ動画です。ナレッジマネジメントに関する研究を行ってきた西村 歩(株式会社MIMIGURI リサーチャー)と瀧 知惠美(株式会社MIMIGURI リフレクションリサーチャー)が入門的な内容を中心にレクチャーを行いました。

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「ナレッジマネジメント入門:知が循環する組織をつくる」のチャプター

10:44 チェックイン:ナレッジマネジメントと聞いて思い浮かぶイメージとは?
15:06 西村の自己紹介とナレッジマネジメントに興味を持った背景
26:31 ナレッジマネジメントの定義
30:28 経営戦略学から見るナレッジマネジメントの成立潮流
41:13 ナレッジマネジメントが浸透するに至った1990年代以降の社会の流れ
50:00 ナレッジマネジメントの基礎理論 野中郁次郎らの「SECIモデル」の紹介
1:16:13 パネルディスカッション:ナレッジマネジメントを”明日から始める”としたらまず何をすべき?

「ナレッジマネジメント入門:知が循環する組織をつくる」のポイント

  • 西村はナレッジマネジメントに興味を持った背景として、MIMIGURIが運営するラジオ『MIMIGURI Channel』が組織にどのような影響を与えたかについて研究し発表したことが契機となり、実践者自身の熟達/成長と他事業部への実践知の還元が行われたエピソードを紹介した。西村はこの事例を通して、組織の中で知識を繰り出すことが自社の強みを形成していく重要な機会になると実感したと語り、企業の競争力を高める手段としてのナレッジマネジメントについて話題提供を行った。
  • まず導入としてナレッジマネジメントとは何かについて話された。ナレッジマネジメントの特徴として、①組織目標の達成や組織の効率・価値の向上を目標とする、②企業組織や個々人が保有する知識を資産とみなして活用することを試みる、③知識は人間より内的に形成されるものであり、相互作用を通じて組織感で共有発展されるの3点が紹介された。
  • 続いて、ナレッジマネジメントの成立潮流について触れられた。70年代から80年代にかけて、企業の競争力を産業構造におけるポジショニングに求めるSCP理論、企業の経営資源の希少性に求めるRBV理論が経営戦略学で台頭し、その後他の資源を再編する知識と編集する仕組みに焦点が当てられるようになった。また、社会の潮流としても景気後退による人員削減が実施され、ノウハウ・ナレッジを持つ人材が流出し、ナレッジマネジメントが注目されるようになったと西村は語る。
  • 次にナレッジマネジメントの基礎理論として野中郁次郎らのSECIモデルについて説明された。野中は企業内で暗黙知が形式知に転換され知識が形成、共有、進化するプロセスを「SECI」モデルとして理論化し、共同化(S)→表出化(E)→連結化(C)→内面化(I)の過程を示した。
  • 最後にパネルディスカッションにおいて、ナレッジマネジメントを明日から始めるためには、部署内でリーダーシップを持って場作りしたりSECIモデルを回す人がいることが重要だと西村は語った。また、知識活用が推進される文化づくりとして、知識への貢献に対してインセンティブが与えられる構造や、経営陣の知識行動の実践などが挙げられた。
  • とはいえ組織的に大規模に導入するのは難しく、組織のフェーズや特性によっても推進の仕方は異なる。いきなり大きくやろうとせず、まずは小さくできることから(例えば日々の1on1で暗黙知に目を向けてみる等)やってみるっていう観点も必要なのではないかと瀧は指摘した。

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出演者

西村 歩
西村 歩

東京大学大学院情報学環客員研究員。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。実践研究方法論が専門家。現在はコンサルティングファームに内在する実践知の形式知化やナレッジマネジメントに関する研究活動に従事。電子情報通信学会HCGシンポジウム2020にて「学生優秀インタラクティブ発表賞」、電子情報通信学会メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎研究会にて「MVE賞」を受賞。

瀧 知惠美
瀧 知惠美

多摩美術大学情報デザイン学科卒業。東京藝術大学デザイン科修士課程修了。多摩美術大学、東海大学非常勤講師。ヤフー株式会社にて複数サービスのUXデザインを担当した後、UXの社内普及のためワークショップ型の研修やUX導入から組織浸透までの実務支援を主導。UX実践を成果へ結びつけるため、チームづくりのためのふり返りの対話の場づくりの実践および研究を行う。MIMIGURIでは、UXデザイン・サービスデザインをはじめとする事業開発を中心に担当。よりよいユーザー体験につながるモノ・コトを生み出すために、つくり手の体験も重要と考え、事業開発と組織開発の組み合わせ方を実践と研究の両軸を重視しながら探究している。