なぜ「マトリクス組織」はうまくいかないのか?|CULTIBASE Radio|Management #110
なぜ「マトリクス組織」はうまくいかないのか?|CULTIBASE Radio|Management #110
/約20分
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「なぜ『マトリクス組織』はうまくいかないのか?」の概要

CULTIBASE Radioは、人やチームの創造性を高める知見を音声でお届けします。CULTIBASE Radio マネジメントの110回目では、CULTIBASE編集長であり株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEOの安斎勇樹と、同じく株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEOのミナベトモミが、「なぜ『マトリクス組織』はうまくいかないのか?」をテーマにディスカッションしました。

  • マトリクス組織は、前回まで扱ってきたスモールチームの考え方と、バッティングしがちである。今回は、マトリクス組織をうまく機能させる要点について扱う。
  • マトリクス組織では、縦型の事業組織に対して、職能ごとに横断させる。そうすると事業部門による都合と、職能部門による都合の、どちらを重視すればいいかわからなくなる。結果としてマトリクス組織でのスモールチームがうまくいかなくなりやすくなってしまうとミナベは言う。
  • もちろん、マトリクス組織自体にも多くのメリットが存在する。特に、事業規模の拡大や事業の多角化を目指し組織としてパフォーマンスを高めていくために、マトリクス組織をうまく活用している組織は多い。しかし、その設計の勘所が難しく、マトリクス組織の施行開始からうまく機能させるまで、3年以上の時間を必要とする場合が多いとミナベは言う。
  • マトリクス組織の設計者が気をつけるべき観点とは。一つ目は、マトリクス組織の構造設計の前に、人間関係が悪化しているなら、その改善を行うとよいとミナベは言う。組織構造の移行期には個々のメンバーが自発的に動こうとする中で、組織の構造的にそれが叶わず身動きが取れなくなってしまうケースが頻発する。その対策として、まずはメンバーの関係性を改善してから、全員がマトリクス組織の設計に向き合える状態をつくることが大切である。
  • 2つ目は、権限が同じ横の人同士の調整をしっかり行うことが大切だと、ミナベは語る。事業部や横断組織の長がお互いに腹を割って話せない状態になってしまっている組織は案外多く、その状態では短期的な視点でしか見られなくなってしまう。
  • お互いの利害は一旦置いておき、経営会議に強い意志を持って臨みながら、ミッションとビジョンに対する経営ロードマップをつくり、それぞれが持っている有形資本・無形資本を出し合い、ベストな組織構造をデザインすることが重要だと、ミナベは言う。
  • すなわち、スモールチームとしての経営チームがうまく機能することが、組織全体におけるよいスモールチームとよいマトリクス組織の両立を実現する土壌づくりに繋がっていくのだ。

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出演者

安斎 勇樹
安斎 勇樹

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

東京大学大学院 情報学環 客員研究員

1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO/東京大学 特任助教授。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究している。主な著書に『問いのデザイン』、『問いかけの作法』、『パラドックス思考』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』『チームレジリエンス』などがある。

https://x.com/YukiAnzai
https://note.com/yuki_anzai
https://voicy.jp/channel/4331
http://yukianzai.com/

ミナベ トモミ
ミナベ トモミ

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

早稲田大学卒業後、家電メーカー勤務を経て独立。現在は、MIMIGURIが提唱するCCM(Creative Cultivation Model)の理論開発を基盤に、大企業からメガベンチャーまで様々な多角化企業における、経営・組織変革の専門家として自社経営とコンサルティングにおいて実践を進めている。
https://x.com/tomomiminabe
https://note.com/tomomina/

安斎 勇樹
安斎 勇樹
ミナベ トモミ
ミナベ トモミ