少年漫画から盗む、イノベーションの切り口:連載「アナロジー思考の秘訣」第5回
少年漫画から盗む、イノベーションの切り口:連載「アナロジー思考の秘訣」第5回

少年漫画から盗む、イノベーションの切り口:連載「アナロジー思考の秘訣」第5回

2021.02.04/4

連載「アナロジー思考の秘訣」では、論理的思考では辿り着けない、飛躍した発想を得るための思考法「アナロジー思考(analogical thinking)」について、その特徴や手順について解説します。

これまで「意味の類似性」「仕様の類似性」のそれぞれを起点としたアナロジー思考の方法を解説してきました。

https://cultibase.jp/2156/
https://cultibase.jp/2162/

今回は、少し違ったかたちでアナロジー思考の可能性を探っていきます。それは、問題解決やイノベーションの「やり方」そのものを借りてくる、方法論のアナロジーという切り口です。

目次
・実は無意識にやっている、方法論のアナロジー
・少年漫画は、方法論のアナロジーの宝庫である


実は無意識にやっている、方法論のアナロジー

おそらく多くの人が、それがアナロジー思考とは自覚せずに、普段の仕事のなかで方法論のアナロジーを実践しているのではないでしょうか。たとえば、以下のようなものは、方法論のアナロジーの一例です。

・別の業界でうまくいっている人材育成手法を、自社の社員育成に導入してみる
・海外のエンジニアが活用しているチーム開発の手法を、自社の企画プロセスに活かしてみる
・プロスポーツチームの監督の考え方を、マネジメントの思想の参考にする
・著名なクリエイターが美術鑑賞を趣味にしていると知り、インプットの質を変えてみる

以上のようにすでに別の領域でうまくいっているやり方を借りてくる発想は、アナロジー思考の基本的な考え方のひとつです。

方法論のアナロジーの勘所を掴むと、さまざまな領域のやり方が、アナロジーのソースに見えてきます。ビジネスのナレッジだけでなく、上述したようなスポーツや芸術はもちろん、芸能、政治、エンターテイメントなど、あらゆるソースがアナロジーの宝庫になります。

少年漫画は、方法論のアナロジーの宝庫である

本記事では「少年漫画」をソースに、方法論のアナロジーを練習してみましょう。筆者は少年漫画を愛してやまないのですが、少年漫画というのは、一般的に主人公が成長しながら、強大な敵に挑み、打ち勝っていく様子が物語化されています。そのプロセスに読者は魅了されていくわけです。

見方を変えると、「少年漫画」には複雑な問題解決や、多くの人を惹きつけるマーケティングの手法がふんだんに使われていると考えられます。

たとえば、いくつかの「少年漫画」の「あるあるパターン」を例に、考えていきましょう。複数の漫画で繰り返し活用されている「あるあるパターン」には、アナロジーのソースとして盗む価値のある方法が埋め込まれている可能性が高いからです。

(例1)「貴様なんぞ、左手で十分だ!」

頻出する典型的なパターンの一つです。最初から全力で戦って早く終わらせればよいものの、なぜか右手(おそらく利き手)を封印して、片手のみで相手をあしらおうとする、強者の戦略です。だいたいの場合「左手で十分でなかった」展開になりますが、一時的にでも「右手を封印する」という制約は、読者を盛り上げる演出として、魅力的な方略なのでしょう。

この方法を事業に活用するとすれば、「自社のプロダクトにおける右手とは?」「これまでの勝ちパターンを封印して、あえて苦手なパターンで戦うとしたら?」といった問いが浮かびます。手加減している余裕などないはずのビジネス状況で、あえて「左手で戦う」戦略が、ユーザーにとって魅力的な展開を生み出すかも?

(例2)「実はまだ変身を残している」

これもよくあるパターンの一つです。強大な敵が「変身」によって大幅にパワーアップするのは漫画やゲームの王道ですが、その敵を倒さんとしたときに、その姿は最終形ではなく、さらなる進化を残している、というパターン。すぐに思い浮かぶのは、『ドラゴンボール』のフリーザですが、RPGのラスボスなどにもよく使われますね。

そしてフリーザがまさにそうなのですが、変身によって徐々に巨大化していき、最終的にさらに大きくなるのかと思いきや、最終形は思いのほか小さかったりする。“変化の仕方”が予想外の方向に変化する、というのも「あるある」です。

これを事業に応用するのであれば、自社のプロダクトやサービスのうち「もう大きなアップデートはないだろう」と思われているものに対して、「実はまだ変身を残しているとしたら?」と考えてみるのはいかがでしょう。思いも寄らない「最終形態」を考えてみることで、ブレイクスルーが生まれるかもしれません。

(例3)「かけがえのない仲間の死で強くなる」

これも少年漫画の王道ですね。幼なじみや親友のキャラが、敵に殺されてしまうことによって、怒りによって主人公が覚醒するパターン。

自社の主力事業が、もし競合に完全に葬られてしまったら?あるいは、自社プロダクト・サービスの「なくてはならない機能」だと思っていた特徴を、あえて犠牲にするとしたら?現存する「かけがえのない何か」と引き換えに、別の強さを手に入れるとしたら..?と考えてみることで、事業の覚醒の道筋が見えるかも?

以上はあくまで一例です。漫画が好きな方は、ぜひ「あるあるパターン」を挙げてみて、自社のビジネスに活用可能なヒントがないだろうか?と、考えてみてください。少年漫画でなくても構いません。意外なソースからの「方法論のアナロジー」を身に着けると、人生経験のすべてが学習のリソースになりますから、ぜひ試してみてください。

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