職場の「遊び」の4類型:最新のマネジメント研究から学ぶ“遊ぶ職場”をデザインするヒント

職場の「遊び」の4類型:最新のマネジメント研究から学ぶ“遊ぶ職場”をデザインするヒント

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約7分

組織をつくる

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東南 裕美
東南 裕美

組織イノベーションの切り口の1つとして、近年、職場への「遊び」の導入が注目されています。「遊び」を有効に使えば、個人や組織に様々なプラスの効果をもたらすことが示唆されているのです。一方、「遊び」を効果的に活用できなければ、時として経営に対するマイナスな影響も与えるという指摘もあります。

CULTIBASEでも、組織イノベーションの切り口としての「遊び」に可能性を感じており、「遊び」に関する最新の海外文献のレビューを進めています。

2020年に掲載された論文「Having some fun with it: A theoretical review and typology of activity-based play-at-work」では、「遊びとマネジメント」に関する122件の研究をレビューし、4つのカテゴリによって活動ベースでの職場の遊びを体系化しています。今日はその論文をもとに、職場における遊びの具体例やそれぞれの遊びの特徴を紹介します。職場で「遊び」を有効に活用する上でのヒントとしてぜひ参考にしてみてください。

目次
「職場の遊び」を分類する2つの軸
職場の遊びの4類型
職場で「遊び」を有効に活用するための1つの視座

「職場の遊び」を分類する2つの軸

論文「Having some fun with it: A theoretical review and typology of activity-based play-at-work」で扱われる「活動ベースでの職場の遊び」とは、「自然に行われ、対話的であり、楽しいことを目標として行われる活動で、かつ、仕事文脈で行われる活動」と定義されています。

この論文では2つの軸で「活動ベースでの職場の遊び」を分類しています。

1つ目は、遊びの位置付けの軸「仕事に埋め込まれた遊び」か「気晴らしとしての遊び」かで分類をします。

「仕事に埋め込まれた遊び」とは、従業員が仕事に従事しているときに発生する遊び、「気晴らしとしての遊び」は、従業員が仕事に従事していないときに発生する遊びを指します。

2つ目は、行為の主導者による軸「トップダウン主導の遊び」か「ボトムアップ主導の遊び」かで分類をします。

「トップダウン主導の遊び」は経営陣やマネージャーによって取り入れられる遊び、「ボトムアップ主導の遊び」は、一般従業員・同僚らによって主導される遊びを指します。

この2つの軸を使うと、職場における遊びは以下の4つに分類が可能となります。

トップダウン型×仕事に埋め込まれた遊び
トップダウン型×気晴らしとしての遊び
ボトムアップ型×仕事に埋め込まれた遊び
ボトムアップ型×気晴らしとしての遊び

職場の遊びの4類型

分類された4つの遊びそれぞれの特徴や具体例を紹介します。

(1)トップダウン型×仕事に埋め込まれた遊び

このタイプの遊びの具体例としては、ゲーム以外の文脈でゲームデザインの要素を使用する「ゲーミフィケーション」や、レゴ®️ブロックを使って組織の問題解決に取り組むワークショップ「レゴ®︎シリアスプレイ®︎」が挙げられます。

組織内のコミュニケーションを促進し、パフォーマンスを高めるという特徴があると言われますが、そのためには従業員が「なぜその遊びをする必要があるのか」必然性が感じられるような方法で導入することが必要です。

(2)トップダウン型×気晴らしとしての遊び

このタイプの遊びには、「遠足」などの会社主導での楽しい行事、「式典や祝賀会」などの遊びが入ります。

一般的な企業でもこういった行事は導入されていることが多いと思いますが、研究の結果としては「これらの遊びのメリットには一貫性がない」ということも指摘されています。

「従業員に気晴らしをして楽しんでもらおう」という安直な考えでは、このような遊びはほとんど効果を持ちません。対象とする相手(従業員)にとってどのような遊びが効果的なのか、各企業ごとに検討する必要があると言えるでしょう。

(3)ボトムアップ型×仕事に埋め込まれた遊び

このタイプの遊びには、「作業を楽しくするため代替手段を探す(そのためのタスクの一時停止)」「仕事をゲーム・パズル・スポーツに見立てる」などが該当します。

単調な仕事や、慣れ切ってしまった仕事であっても、このように遊びを取り入れることでモチベーションを高めたり、楽しく遂行することが可能になります。

(4)ボトムアップ型×気晴らしとしての遊び

このタイプの遊びの具体例としては、「仕事をサボる」ことや「ジョークの習慣」が挙げられています。

「仕事をサボる」は無論、経営側の立場から見るとあまり印象がよくないとは思いますが、「ジョークの習慣」も、時として他者の自尊心を奪ったり、経営慣行への報復となる場合があり、注意が必要です。

こういったマイナスな側面も考えると、一見推奨できないタイプの遊びにも思えますが、単調な仕事をしている間の退屈さを和らげたり、従業員のエネルギー補充に寄与することも示されており、プラスな効果もあります。

職場で「遊び」を有効に活用するための1つの視座

これまでに紹介してきたように、職場における遊びは、効果的に使えばエンゲージメントが高まったり、仕事を楽しく進める効果があります。

一方で、「この遊びを取り入れれば必ず望ましい効果が得られる」といったものはなく、時として望ましくない効果ももたらす可能性もあり、「面白そう」「楽しそう」という理由だけで取り入れるのは危険です。職場で取り入れられる遊びに興味のない従業員に対し、その遊びを強要すると、組織に対する冷ややかな眼差しを助長することにもなりかねません。

では、職場で「遊び」を有効に取り入れる上では、どういった視座を持てば良いのでしょうか。その一つのヒントとなるのが「内発的動機づけ」です。

論文「Having some fun with it: A theoretical review and typology of activity-based play-at-work」では「ボトムアップ主導の仕事に組み込まれた遊びの活動の方が、トップダウン主導の活動よりも一般的に従業員に評価されている」ことが示されています。

しかし、これは「トップダウン主導の遊びよりもボトムアップ主導の遊びが有効である」ことを主張しているわけではないと筆者は考えています。

ボトムアップ主導の遊びは、その起点が従業員にあることから、そもそも、その遊びに「内発的動機」を包含しています。一方で、トップダウン主導の遊びは、仕事に埋め込まれているにせよ、気晴らしとして取り入れられているにせよ、その遊びに対し、従業員が内発的動機を感じているとは限りません。

特にトップダウン型で遊びを取り入れる場合には、「従業員の内発的動機が引き出せているか?」に着目してみてください。

今日は、論文「Having some fun with it: A theoretical review and typology of activity-based play-at-work」で紹介されていた職場の遊びの4類型をもとに、職場で「遊び」を有効に活用するためのコツについて考えてきました。

今日ご紹介した4パターンの遊びについては、CULTIBASE Labで配信している動画でもう少し詳しく触れています。興味のある方はCULTIBASE Labに参加の上、合わせてご覧ください。