身近にある「アブダクション」経験を語る|CULTIBASE Radio|Design #4
身近にある「アブダクション」経験を語る|CULTIBASE Radio|Design #4
/約15分
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CULTIBASE Radioは、人やチームの創造性を高める知見を音声でお届けします。 CULTIBASE Radio デザインの4回目では、株式会社ミミクリデザインの小田裕和と瀧知惠美が、「身近にある「アブダクション」経験を語る」をテーマにディスカッションしました。

  • 前回は定義を確認した、「アブダクション」。今回は、デザイナーの仕事との関係を探りながら、小田&瀧の経験を振り返っていく。
  • 瀧が最近、アブダクションを感じたのは、今自身が東海大学で受け持っている授業の設計プロセスである。デザイナー向けのポートフォリオ作成の授業で、ただポートフォリオを作るのではなく、「学生に体験作文を書いてみてもらおう」と思いついたのだ。
  • このとき、ポートフォリオ作成と体験作文は必ずしもロジカルに結びついているわけではない。しかし、「頭にあることをかくことで“みえてくる”瞬間が生まれる」という点では、体験作文はデザインのプロセスにおけるサムネイルスケッチと同じ役割を果たしていると言える。
  • 小田がアブダクションと聞いて思い出すのは、自身がTokyo Midtown Award 2016で優秀賞を受賞した「数字になるチョコレート」というアイデアの生成過程である。瀧の場合と同様、テーマであった「Anniversary」と「数字になるチョコレート」というアイデアは必ずしもロジカルに結びついていない。
  • 「ある時ふっと思いつく」を可能な限りはやく、そして多く実現するために、デザイナーはスケッチをしたりマインドマップを描いたりする。この、「アブダクションが起きやすい状況を作る」という手法自体に、デザイナーの職能があると言えるのではないだろうか?

出演者

瀧 知惠美
瀧 知惠美

多摩美術大学情報デザイン学科卒業。東京藝術大学デザイン科修士課程修了。多摩美術大学、東海大学非常勤講師。ヤフー株式会社にて複数サービスのUXデザインを担当した後、UXの社内普及のためワークショップ型の研修やUX導入から組織浸透までの実務支援を主導。UX実践を成果へ結びつけるため、チームづくりのためのふり返りの対話の場づくりの実践および研究を行う。MIMIGURIでは、UXデザイン・サービスデザインをはじめとする事業開発を中心に担当。よりよいユーザー体験につながるモノ・コトを生み出すために、つくり手の体験も重要と考え、事業開発と組織開発の組み合わせ方を実践と研究の両軸を重視しながら探究している。

小田 裕和
小田 裕和

千葉工業大学工学部デザイン科学科卒。千葉工業大学大学院工学研究科工学専攻博士課程修了。博士(工学)。デザインにまつわる知を起点に、新たな価値を創り出すための方法論や、そのための教育や組織のあり方について研究を行っている。特定の領域の専門知よりも、横断的な複合知を扱う必要があるようなプロジェクトを得意とし、事業開発から組織開発まで、幅広い案件のコンサルテーション、ファシリテーションを担当する。主な著書に『リサーチ・ドリブン・イノベーション-「問い」を起点にアイデアを探究する』(共著・翔泳社)がある。