飛躍した発想はどこから来るのか:デザイナーの身体知としての「アブダクション」を解明する

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約99分

5/15開催のライブイベント「飛躍した発想はどこから来るのか:デザイナーの身体知としての『アブダクション』を解明する」のアーカイブ動画です。本イベントでは「発見の論理」など呼ばれる「アブダクション」をテーマに、CULTIBASEでもデザイン研究による知見を数多く提供してきた小田裕和と瀧知惠美が、話題提供とワークを通じて、「デザイナーの身体知」の観点から新たな発想の基盤を確立するヒントを探究しました

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チャプター

00:11 イントロダクション&チェックイン
27:09 話題提供(1):アブダクションの基礎知識
39:56 話題提供(2):デザイナーに求められる「構成的知覚能力」とは何か
47:15 メインワーク:書籍『問いかけの作法(仮)』の表紙モチーフを創案する
01:28:23 今後のイベントのご案内・ラップアップ
01:32:23 質疑応答

<今週のポイント>
・「アブダクション」は「仮説推論」と呼ばれ、観察する事実から仮説を導く推論の方法である。一般的に答えを出すことではなく、新しい仮説に気がつく目的で活用される。
・デザイナーに特徴的な行為である「付箋」「スケッチ」「プロトタイピング」などでは量産することが重要視される。これは“積み重ね“だけでなく、ある時”突然(発想が)見えてくる”ための“面“を作る上で重要だと考えられている。思考の材料を並べ、面を作ることで、材料同士の関係性に目が向き、着想が生まれる。
・小田は「いかに発想を得るか」よりも「発想をもたらす面をどう創るか」が重要だと考えている。また、面を創る力を磨くためには一定のトレーニングが必要である。
・デザイナーの発想は認知科学的には「構成的知覚」という概念で説明されている。感性を磨くためには、この「構成的知覚」を鍛えることが有効である。
・構成的知覚は、図に対する「知覚的発見」と「概念的意味付け連想」の関わり合いによるものであり、一部に着眼しながら、周囲の概念との結びつきによって新たな意味づけることで生じるとされている。

あらゆる企業でイノベーションが必要だと叫ばれるようになって久しく、世の中には多種多様なアイデア発想を支援するメソッドやツール、フレームワークが溢れています。しかしながら、それでも発想力に課題を抱える企業は跡を絶ちません。ただ闇雲に方法論を導入しても成果に結びつくことは稀であり、持続的に豊かな発想を生み出し続けるような組織やチームを作るためには、「個人の発想力をいかに鍛えるか」という視点に立つことも重要です。しかし、発想力を得るために私達が鍛えるべき”筋力”とは何なのでしょうか。また、どうやって鍛えればよいのでしょうか。

今回のイベントでは、その筋力を、「アブダクションを生み出す“面”をつくる力」として捉え、オンラインホワイトボードを用いて、そのトレーニング方法を体験する活動が行われました。CULTIBASE Labのライブイベントとしては初めてのワーク主体となりましたが、前半は小田・瀧による理論解説、後半はその理論を踏まえた上でのワークと、ある意味CULTIBASEの理論と実践を往復した内容になっていたように思います。

小田・瀧による20分ほどの理論解説は重要な部分だけを抜き出した非常に濃いものとなっており、「興味はあるけどフルで視聴する時間が取れない..」という方はぜひこちらだけでもご覧ください。また、ワークはデザイナーの発想プロセスを疑似体験するような内容になっています。特に最後の方( 1:12:13 あたり)では参加者のアウトプットに対して小田・瀧がコメントを返しながらポイントを解説していき、さながらデザイン系のゼミを覗き見しているような場となりました。ぜひ合わせてご覧ください。

■アブダクションについてはこちらのコンテンツでも解説しています!ぜひ合わせてお聴きください。

デザイナーの思考の癖を「アブダクション」で説明する|CULTIBASE Radio|Design #3

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身近にある「アブダクション」経験を語る|CULTIBASE Radio|Design #4

身近にある「アブダクション」経験を語る|CULTIBASE Radio|Design #4

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アブダクティブな発想を導くデザイナーの「癖」とは?|CULTIBASE Radio|Design #5

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アブダクティブな発想を導くデザイナーの「癖」とは?|CULTIBASE Radio|Design #5

出演者

小田 裕和
小田 裕和

千葉工業大学工学部デザイン科学科卒。千葉工業大学大学院工学研究科工学専攻博士課程修了。博士(工学)。デザインにまつわる知を起点に、新たな価値を創り出すための方法論や、そのための教育や組織のあり方について研究を行っている。特定の領域の専門知よりも、横断的な複合知を扱う必要があるようなプロジェクトを得意とし、事業開発から組織開発まで、幅広い案件のコンサルテーション、ファシリテーションを担当する。主な著書に『リサーチ・ドリブン・イノベーション-「問い」を起点にアイデアを探究する』(共著・翔泳社)がある。

瀧 知惠美
瀧 知惠美

多摩美術大学情報デザイン学科卒業。東京藝術大学デザイン科修士課程修了。多摩美術大学、東海大学非常勤講師。ヤフー株式会社にて複数サービスのUXデザインを担当した後、UXの社内普及のためワークショップ型の研修やUX導入から組織浸透までの実務支援を主導。UX実践を成果へ結びつけるため、チームづくりのためのふり返りの対話の場づくりの実践および研究を行う。MIMIGURIでは、UXデザイン・サービスデザインをはじめとする事業開発を中心に担当。よりよいユーザー体験につながるモノ・コトを生み出すために、つくり手の体験も重要と考え、事業開発と組織開発の組み合わせ方を実践と研究の両軸を重視しながら探究している。