テンションがぶち上がっても、翌朝には冷めている私たち|おとな創造性Q&A 第4回
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テンションがぶち上がっても、翌朝には冷めている私たち|おとな創造性Q&A 第4回

MIMIGURI安斎勇樹さんと、創造性研究の第一人者でMIMIGURIシニアリサーチフェローに就任した岡田猛さんの対談シリーズ「おとな創造性Q&A」。創造性をめぐるさまざまな「お悩み」を起点にしながら、ビジネス×アカデミアの知見をお二人にぶつけていただきます。第4回のテーマは「飽きと創造性」。

【今回のお悩み】

アイデアを思いついたときはすごく盛り上がるのですが、しばらくすると冷めてしまいます。すぐに飽きてしまわず、関心を持続させるにはどうすればいいでしょうか?

安斎勇樹(以下、安斎):なるほど。これはあるあるですよね。ぼくも本の企画を思いついたりして、「こういう本、書きたい!」とかって思ったときはすごく盛り上がっているんですが、翌日に改めて見たら「なんだこれ?」ってちょっと冷めてしまったり、衝動が尽きてしまうということはけっこうあります。

これに関しては、岡田先生がお詳しいと思うのですが、「好奇心と興味は違う」という話なのかなと思います。最初にワクワクが湧き上がっているときって、まだその対象に対する短期的な「好奇心」が働いている状態にすぎない。好奇心って、未知なるものに対して瞬発的に起こる感情なんですよね。

他方で、「興味」というのは、対象に対してもっと前向きな感情が乗って、ある程度、維持されていくものであるはずです。だから、アイデアがパッと出たときにはワクワクするけど、すぐに冷めてしまうのは、「好奇心が湧き上がっているけど、興味までには至っていない」という状態なのかなと思います。

じゃあ、好奇心を興味まで持って行くにはどうしたらいいかというと、これは2つあると思います。

1つは「打率と打席数の問題」です。たとえば「面白そうだな……」って思った本とか映画を味わってみたとき、それにめちゃくちゃハマる確率ってそんなに高くないですよね。好奇心が盛り上がったものが100個あったとしても、それが興味として持続するとなると、10個もないですよね。おそらく3つでもあればいいほうじゃないかと思います。そこを増やすには、とにかく打席数=好奇心の盛り上がりを増やすしかない。

もう1つは「興味を持続させるための方略」ですね。自分自身を振り返ってみると、たとえば本の企画アイデアを思いついたときの初期衝動と、それをプロジェクトとして動かしていくときのモチベーションというのは、ちょっと違う気がしています。実際に原稿を書いたりしているときには、「どういう構成がいいかな?」とか「どういうキャッチコピーだと売れるだろう?」といったふうに、本を具現化したり世に広げたりしていくための攻略プロセスにワクワクしている状態です。

なので、単なる好奇心で終わらせずに、興味として持続させていくためには、かなり意識的に「瞬発的なおもしろさ」から「よりロングスパンのおもしろさ」へと自分のマインドを向け直す必要があるのだと思いますね。これは自分の実感としても本当にそうで、ここの切り替えを意識し損ねると、ちょっとアイデアを寝かせているうちに気持ちが冷めてしまうんです。

岡田猛(以下、岡田):実感に基づいたとても具体的なアドバイスですね。以前、自分のウェブサイトに「アイデアが生まれて、それが形になっていく過程に興味があります」というようなことを書いていたのですが、じつはそれはウソで……。

安斎:えっ、そうなんですか!

岡田:ウソというのは言い過ぎかもしれませんが、アイデアというのは生まれてから形になるのではなく、形にしているうちにアイデアとしてまとまってきたりするんです。だから、どちらが先かがわからないんですよね。

「こういうのをやろう!」といったアイデアが湧いてくるのは、まったく別のことをやっているときだったりしますし、「よし、このアイデアを形にするぞ!」と思って作業していると、それとはぜんぜん関係のない違うアイデアが生まれてきたりもする。

形をつくるプロセスそのものが面白ければ、着想というのはどんどん出てくるものなんです。「まずアイデアだけ出してみて、そのあとにそれを形にしよう」というようなトップダウンのプロセスだけでやろうとすると、なかなか成果が出づらいし飽きてしまう。

飽きないためには、アイデアがぽっぽっと浮かんでくる「土壌」みたいなものが必要で、そういう土壌をつくるのが大事だと考えます。

私自身、大学院生を指導する立場でつくづくよかったなと思うんです。何か面白いなと思ったことがあったときに、院生に「どう? 誰か、これやってみない?」と言うと、たいてい面白がって手を挙げてくれる人が出てくる。彼らがそこからなんらかの形にしてくれて、それを前にしながら一緒にやりとりをするなかで、また新たに着想がどんどん出たり広がったりしていく。もちろん、こちらからアイデアを投げかけている以上、そのサイクルには関わり続けていくことになり、けっこうしんどいときもありますが(笑)。

安斎:会社なんてとくにそうで、いかに周囲のメンバーが「土壌」になってくれるような状況をつくるかが大事ですね。アイデアを生み出したり、形にしたりという活動は、そもそも1人で全部やらなくちゃいけないというわけではない。

あと、最後に少しだけちがう観点を加えておくと、関心を継続させるためには「仕組み」も有効だと思いますね。

以前からずっと疑問だったのが、「本を継続的に出している作家さんって、忙しいのになんであんなに連載をするんだろう?」ということでした。でも、あれってむしろ順序が逆で、連載を持っているからこそ本が書けるんでしょうね。「連載」という「書くことを継続する仕組み」があるからこそ、本を出すことができる。

熱しやすく冷めやすい人は、そうやって仕組みをつくることで「形にせざるを得ない状況」に自分を追い込むやり方もあるのかなと思います。

(第5回に続く)
聞き手・編集:藤田悠

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