アートの「批評性」をファシリテーションにどう活かすか?|CULTIBASE Radio| Facilitation #23

アートの「批評性」をファシリテーションにどう活かすか?|CULTIBASE Radio| Facilitation #23

2022.06.14/22

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CULTIBASE Radioは、人やチームの創造性を高める知見を音声でお届けします。 CULTIBASE Radioファシリテーションの23回目では、株式会社MIMIGURIのFacilitatorである渡邉貴大と、同社のFacilitator/Art Educatorである臼井隆志が、「アートの『批評性』をファシリテーションにどう活かすか?」をテーマにディスカッションしました。(前編はこちら

  • 前回のラジオに引き続き、MIMIGIRIでファシリテーターのひとりとして活躍する臼井に、ファシリテーターとしてのあり方と営みに迫っていく。
  • アートとファシリテーションは、どのように繋がっているのだろうか。アートによるファシリテーションには2種類あると臼井は語る。1つ目は、活動の一部分にアートによる「表現」の営みを入れること。そしてもう1つには、社会を「批評」し、見えていない問題点を指摘したり、新しい視点を提示したりする性質を取り入れた営みを挙げる。
  • そのうち臼井が特に強い関心を持っているのは、後者の「批評性」の観点だと言う。プロジェクトなどにおいても、フレームワークを使えばある程度安定した誰でも軌道を描くことができる一方で、そのプロセスで見落としてしまう視点も存在する。そうした中で、アートを用いることでそうした視点をすくい上げ、俎上にあげることが可能となり、改めてその意味を問う「批評」に繋がる。
  • そのような批評によって「あえて迷子になる」感覚が重要だと臼井は言う。例えばプロジェクトマネジメントの場合、フレームワークを用いれば道筋が明確になり、着実に進んでいくことができるため、「迷子」にはなりにくい。しかし、その副作用として、バイアスの中で特定の問題が見過ごされてしまったり、感覚や気持ちに蓋がされてしまうこともある。そこでプロジェクトに(アートを用いた)ワークショップを取り入れ、「迷子になってもよい時間」を設けることで、その感覚を取り戻すことが可能となる。そのような経験をファシリテーターとしてつくり出していきたいのだと臼井は語る。
  • また臼井はファシリテーターに求められる素養について問われて、「つくりながら考える姿勢をわかちあう」という考え方と、それを促進する技術を身につけていることが重要だと言う。ファシリテーターの大きな役割の1つは、自分自身が叩き台になったり、たたき台となるアイデアを出すことであり、参加者を意図的に「迷子」の状態にしながらも、その叩き台を指標にしたり、批評の対象としたりすればよいのだと陰に陽に伝えることで、場に安心感が生まれる。アートの「批評性」をファシリテーションに取り込むにあたって、この「叩き台をつくる」ことは臼井自身も大事にしている姿勢だと述べる。
  • 批評は重要だが、批評だけされるような場では成り立たない。このようなジレンマを、臼井は「逸脱」と「適応」という言葉で表現する。「批評」により「逸脱」した状態にするだけではなく、「逸脱」した状態を「適応」した状態に戻すファシリテーションも必要なのだ。そのような往復活動の中で、「迷子」を楽しめる状況をつくり、新たな知見やアイデアなどを見出していく。
  • 最後に、臼井の理想のファシリテーター像を問う渡邉。臼井は、領域を軽やかに越境して楽しんでいる人になりたいと答える。困難に直面しながらも、その都度で縦横無尽に新しい場にいく過程を楽しみながら、越境の偶然性の仕組みをつくっていくこと。そして、今回のラジオもまた、本来存在したアジェンダから臼井が「逸脱」し、その内容を渡邉が目的を更新しながら「適応」させていくプロセスだと言えるのではないかと、収録をふりかえって述べる。

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今回のゲスト臼井が登壇するライブイベント「創造性を育むファシリテーション:他者を理解し、受け入れる土壌をつくる理論と技法」のアーカイブ動画が公開中です。CULTIBASE Lab会員限定となりますが、現在10日間の無料キャンペーンも実施中です。関心のある方はぜひこの機会に入会をご検討ください。

創造性を育むファシリテーション:他者を理解し、受け入れる土壌をつくる理論と技法https://www.cultibase.jp/videos/7761

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