場のムードとモードは「イントロダクション」で決まる|CULTIBASE Radio|Facilitation #2
場のムードとモードは「イントロダクション」で決まる|CULTIBASE Radio|Facilitation #2
/約18分
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CULTIBASE Radioは、人やチームの創造性を高める知見を音声でお届けします。 CULTIBASE Radio ファシリテーションの2回目では、株式会社MIMIGURIの和泉裕之と渡邉貴大が、「場のムードとモードは「イントロダクション」で決まる」をテーマにディスカッションしました。

  • MIMIGURI Co-CEOである安斎らによる研究に、どのタイミングにワークショップ実践者が困難さを感じているか、調査したものがある。その結果は、初心者がメインパートに、熟達者がイントロダクションに困難さを感じていることを明らかにした。
  • では、ファシリテーターはイントロダクションでは何をしているのだろうか?一般的にはイントロダクションの役割は、空気づくりや場に参加する動機付けだ。特に、和泉は「どのような“ストーリーテリング”でイントロダクションを行うかということに一番頭を使う」と言う。
  • イントロダクションでは「この場で何をどうするのか」だけではなく、参加者が感情的にも納得できるよう「どうしてやるのか」という目的を伝えるのだと言う。したがって、伝える際には①この場の先に、どういうワクワクすることが待っているのか(目的)②そのために、こういうワークをこういう方法で一緒にやっていきたい(手段)という順番を心がける。
  • また、特にワークショップでは、その場が「非日常」であること、「協同」が重要であること、「民主的」な姿勢で臨むべきこと、答えがない「実験的」な場であることを伝えることが大切だが、口で言うだけでは参加者の“モード”は変わらない。重要なのは、ファシリテーター自身がそれらを体現できていることだ。
  • あるとき、学校の先生を対象としたワークショップで、1人の参加者の先生が少し遅れてやってきたことがあった。謝る先生に対して、ファシリテーターを務めていた和泉は、即座に「全然大丈夫ですよ!」と投げかけたと言う。
  • 大切なのは、この投げかけを即座に行ったこと。なぜなら「非日常な場とはいえ、ファシリテーターも遅刻はイヤだと思ってるんだ」と、思わせてはいけなかったからだ。特に、学校の先生にとって規範を遵守することは日常生活において特に重要だろう。だからこそ、この呼びかけによって、そのような普段の姿勢をリフレームし「この場は非日常だ」ということを真に理解してもらう必要があったのだ。

出演者

和泉 裕之
和泉 裕之

日本赤十字看護大学卒業。在学時から「対話(dialogue)」という物事への意味付けに着目したコミュニケーション手法に関心を持ち、ワールドカフェやOSTなどの対話の場作りを多数実践。卒業後はフリーランスファシリテーターとして4年間の武者修行を経験した後、株式会社ミミクリデザインの立ち上げに参画。少人数〜数万人規模の組織にて、組織理念のデザインや浸透(自分ごと化)を対話型ワークショップで支援するコンサルティング業務に従事。現在は専任の組織人事として社内の組織開発/人材育成を担当している。

渡邉 貴大
渡邉 貴大

ファシリテーター

早稲田大学商学部卒業。規模/業態の異なる複数の組織において、人事やコンサルタントとして業務に従事。チェンジ・エージェントとして組織変革のファシリテーションを実践してきた。MIMIGURIでは個人と組織が自らの「story writer」となり、自分や自分たちの物語を紡ぐ機会を演出する組織・事業開発、イノベーションプロジェクトのPMとファシリテーションを担当している。