「対話」とは何か?改めて定義を探る

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約67分

学術知の探究

#対話
小田 裕和
小田 裕和
安斎 勇樹
安斎 勇樹

7/4(火)に開催した「「対話」とは何か?改めて定義を探る」のアーカイブ動画です。今回から始まった新番組DIGTIONARYは、”特定の概念”について深掘りし、そこから見えてくる景色を探る番組です。番組名は「Dictionary(辞書)」と「Dig(掘る・探究する)」を掛け合わせた造語で、「言葉の定義をより深掘りしていく」という意味が込められています。「対話」をテーマとした初回は、小田裕和(株式会社MIMIGURI デザインストラテジスト/リサーチャー)が、対話の学術的知見を紐解き、対話とは何かを深掘りました。

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「対話」とは何か?改めて定義を探る」のチャプター

06:57 今日のトピック
12:46 議論と対話、会話の違い
17:54 アイザックの示した対話の段階
20:10 価値観の不安定さと向き合うステージ
27:01 価値観そのもののゆらぎと向き合うステージ
29:50 価値観の探求と向き合うステージ
36:46 価値観の創造と向き合うステージ
46:10 組織においてなぜ対話が必要なのか
48:47 組織の中に存在するサブカルチャー
01:00:28 今後の探求に向けて

「「対話」とは何か?改めて定義を探る」のポイント

  • 今回から始まった新番組「DIGTIONARY」は、「Dictionary(辞書)」と「Dig(掘る・探究する)」を掛け合わせた造語であり、学術的な知見を紐解きながら深掘りし、探究を進める場として話題提供を行っていく。
  • 初回となる今回は、「対話」とはなにか?について改めて定義を探る。対話をテーマにした理由として、先日小田が執筆し議論と対話、会話の違いについて整理したnoteの反響が大きかったことをあげる。また、様々な企業に向けてコンサルテーションを提供する中で対話の大切さを聞かない日はないが、そもそも対話とはなにかについて共通認識が取れていないと感じることがあると小田は語る。
  • 対話は、長年研究されてきた領域のため正しく定義づけるということは困難であるが、今回はウィリアム・アイザックの文献とエドガー・シャインによる文献を紐解きながら小田なりに対話をディグり定義づけていく。
  • アイザックの文献によると、「対話とは単に人々がともに話し合うための戦略ではない。人々がともに内省し、思考や行動が生まれる土壌を変えることができる環境を提供する」とされる。ある集団の中での思考や行動が生まれる土壌は「コンテナ」と表現される。
  • アイザックの示した対話の段階によると、「価値観の不安定さと向き合うステージ」「価値観そのもののゆらぎと向き合うステージ」「価値観の探求と向き合うステージ」「価値観の創造と向き合うステージ」の4段階に分けられる。
  • 「価値観の不安定さと向き合うステージ」においては、自分の見解を守るか、保留し確信のグリップを緩めるかのどちらかを選ぶ。小田は、「対話してくれないと言う側が、実は自分の見解を守ろうとしてしまっている」と語り、頑なに見解を守ろうとする姿勢を変えないと対話にはならないと指摘する。
  • 「価値観そのもののゆらぎと向き合うステージ」では、自分の考えや信念はどこに境目があったのかというはざまに目を向けていくことだと捉えられる。自分自身の境目やはざま自身に目を向けることが重要だが難しく、洞察を手助けするのがファシリテーターの役割とされる。
  • 「価値観の探求と向き合うステージ」は互いのはざまに関心を持ち、ともにそれについて深く考えようという空気が生じている状態である。このように対話のプロセスは判断を留保し続けることが鍵を握っている。
  • 「価値観の創造と向き合うステージ」は、メタローグと呼ばれる共通の意味のプールに参加していることを感じ始めるステージである。これはSECIモデルにおける新体制としての暗黙知が共同化された状態に近いと小田は語る。
  • では組織において対話はなぜ必要なのだろうか?アイザックは対話学習の礎として、シャインは集団行動の根源として対話の重要性に言及しており、両者とも組織学習の観点から対話の重要性を主張する。
  • エドガーシャインは、対話は文化やサブカルチャーを理解するための手段として必要だと主張する。小田は、組織に生じている現象としてのサブカルチャーを捉え対話を広げることの重要性を指摘した。
  • 対話は完璧に整合した状態を目指されがちだが、組織の中にある不整合にともに気づき不整合の前提にあるものに目を向け、ともに探求し整合につながる前提の構築を模索しようとすることに対話の本質があるのではないかと小田は語った。

「「対話」とは何か?改めて定義を探る」の関連コンテンツ

▼小田によるnote記事はこちら
これからのデザインに欠かせない「対話」とは何かを改めて考える|① そもそも対話とは?
https://note.com/hirokazu_oda/n/n30ce3e81c321

ラーニングパス

▼対話の技法論
https://www.cultibase.jp/learningpath/skills-of-dialogue

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出演者

小田 裕和
小田 裕和

千葉工業大学工学部デザイン科学科卒。千葉工業大学大学院工学研究科工学専攻博士課程修了。博士(工学)。デザインにまつわる知を起点に、新たな価値を創り出すための方法論や、そのための教育や組織のあり方について研究を行っている。特定の領域の専門知よりも、横断的な複合知を扱う必要があるようなプロジェクトを得意とし、事業開発から組織開発まで、幅広い案件のコンサルテーション、ファシリテーションを担当する。主な著書に『リサーチ・ドリブン・イノベーション-「問い」を起点にアイデアを探究する』(共著・翔泳社)がある。

安斎 勇樹
安斎 勇樹

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

東京大学大学院 情報学環 客員研究員

1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO/東京大学 特任助教授。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究している。主な著書に『問いのデザイン』、『問いかけの作法』、『パラドックス思考』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』『チームレジリエンス』などがある。

https://x.com/YukiAnzai
https://note.com/yuki_anzai
https://voicy.jp/channel/4331
http://yukianzai.com/