組織の創造性は測れるのか?

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約44分

学術知の探究

#創造性
#組織開発
東南 裕美
東南 裕美

新規事業開発やイノベーション戦略、チームづくり、日々の業務改善まで、昨今の企業組織ではさまざまな場面で「創造性」が求められています。

一方で創造性とは、曖昧なイメージがあります。企業においてそれを高めたり、評価・測定したりする具体的な取り組みはまだまだ少ないのが現状です。

そもそもそのような曖昧なものを「測ることはできるのか?」と考える人も多いのではないでしょうか。

今回は、石黒千晶さん(聖心女子大学 現代教養学部 心理学科 専任講師)をゲストに、創造性はどのような要素をもっているのか、そして誰が測るのかについて深めることで、創造性という概念の解像度を上げていきます。

「組織の創造性は測れるのか?」のチャプター

01:51 なぜ「創造性の測定」を学ぶのか
04:37 今回紹介する文献概要
09:28 そもそも「創造性の測定」とは?具体的に何を測ることなのか
16:56 企業文脈での創造性測定
23:27 創造性は誰が測る?上司は創造性を測ることができるのか
36:49 「評価の精度を高めること」と「観点を得ること」

「組織の創造性は測れるのか?」のポイント

  • 創造性は企業や教育の中で重要視される一方で、「創造性を測定すること」は一般的には馴染みが薄いのではないか。今回は創造性の測定について知っていくことで、創造性の解像度を上げていく。
  • 今回扱う文献は組織の創造性に関する最新の研究知見がまとまったハンドブック『Handbook of Organizational Creativity: Individual and Group Level Influences』。ある程度発展している研究領域では、さまざまな研究者が論文を投稿し、編集したものが「ハンドブック」として出版される。
  • まず石黒さんからは、創造性の測定とは、具体的に何を測定することなのかについて話された。石黒さんが強調したのは、創造性を測ることはできるということ。しかし、単一の”創造性テスト”のような、それだけですべて測れるようなものは存在せず、どのようなタイプ・側面・領域で測定するのか考える必要があるという。
  • 創造性のタイプは4つに分けられ、Big-C(社会を変える革新的な創造性)、Pro-c(専門分野での創造性)、Little-c(しっかりとした貢献がある日常的な創造性)、Mini-c(学習プロセスの一部である個人内の創造性)がある。
  • 創造性の側面で分類すると、Person(創造性に関連する性格などの特性)、Process(創造的思考や創造的な行動に関わる心理過程)、Product(創造的であると判断されるプロダクト)、Press(environment / 創造的な人や過程を生み出す環境)がある。
  • 企業文脈の創造性測定では、個人的要因(person, processへの介入)と、文脈的要因(pressへの介入)がある。これらを複合的に測定することで、採用や評価に繋げることができるのではないかと石黒さんは述べた。
  • 続いて「創造性は誰が測る?」というトピックでは、「自己評価」と「他者評価」について紹介された。自己評価(個人、チーム、組織)は半数以上の研究で用いられているが、人は必ずしも自分の行動や認知をよく判断できるわけではなく、批判もある。また、上司による評価は部下の行動を直接見られるため有効だが、上司自身の資質に左右される。評価者が創造性の重要性を認識していないと、適切な評価が難しい。
  • 創造性評価には「精度を高める」という話と、「(創造性評価をすることで)観点を得る」という話がある。評価する観点があることでそれを意識するようになるため、部下を育てる中で「創造性」という観点を察知しやすくなるのではないかと石黒さんは述べた。
  • 最後に石黒さんは「創造性の測定をしているうちに、私たちの観点が育っていく。測定をやってみて改善していくことで、目を養うきっかけになるのではないか」と語った。

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出演者

東南 裕美
東南 裕美

リサーチャー / ファシリテーター

立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科博士前期課程修了。立教大学大学院経営学研究科博士後期課程在籍。人と組織の学習・変容に興味を持ち、組織開発が集団の創造性発揮をもたらすプロセスについて研究を行っている。共著に『M&A後の組織・職場づくり入門:「人と組織」にフォーカスした企業合併をいかに進めるか』がある。