チームの自律性と事業の多角化はどう両立させる?現代マネジメントが抱える「事業の矛盾」に向き合うヒント
チームの自律性と事業の多角化はどう両立させる?現代マネジメントが抱える「事業の矛盾」に向き合うヒント

チームの自律性と事業の多角化はどう両立させる?現代マネジメントが抱える「事業の矛盾」に向き合うヒント

2022.06.16/5

CULTIBASE編集部

CULTIBASE編集部

時代の変化にともない、マネジメントにおける「常識」も様変わりしてきています。たとえば1989年ごろには、栄養ドリンク剤のCMで用いられた「24時間戦えますか」というフレーズが流行しました。しかし、もし現代の企業が同様のフレーズを採用すれば大きな顰蹙を買うことでしょう。こうした事例からも、私たちが同じ社会を生きる中で共有する価値観が、常に変容し続けていることがわかります。

先日開催されたイベント「現代組織におけるマネジメントの役割を捉え直す:マネージャーが向き合う4つの命題が生む矛盾とは?」では、こうした社会全体におけるマネジメントの価値観の変遷や、その渦中にいるマネージャーが今まさに直面している「矛盾」や「葛藤」の原因が何なのか、株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO・ミナベトモミが講義を行いました。

本記事では、その中で現代のマネージャーが抱える矛盾のひとつに挙げられた「事業の矛盾」について取り上げ、向き合うためのヒントを紹介します。

参考:現代組織におけるマネジメントの役割を捉え直す:マネージャーが向き合う4つの命題が生む矛盾とは?

多角化と自律化の両立が、「事業の矛盾」を生み出している

営利企業の基本的な活動は、事業を戦略的にスケールし、より大きな利益を生み出していくことにあります。その前提は今も昔も変わりません。しかしその戦略の描き方には、「不確実性の増大」という時代の流れを背景に、変化が訪れています。

旧来のパラダイムでは「選択と集中」が事業拡大の王道的戦略として考えられていました。すなわち、資源を一つの事業のみに注入し、一気に市場を占有しようとする考え方です。この戦略では、従業員は全員が同じ方向を向き、正確な数値管理のもと、とにかく早く・効率的な目標達成が求められます。ミナベは、このパラダイムの中では、従業員の愛社精神の醸成が企業としての成功に直結していたと語ります。

しかし、市場の不確実性が高まる現代では、そのような局所的な資源配分は大きなリスクを伴います。そのため、近年では過度な「選択と集中」は避けられる傾向にあり、事業の多角化に力を入れる企業が増えてきています。

参考:“複雑さ”を強みに変える。経営の多角化を実現する「分散と修繕」の組織戦略論

事業の多角化によって、組織の中には多様な職場環境が生み出されることになります。従業員からすれば、組織の中でこの環境で働いているのは自分たちだけということになりますので、自ら考え、行動していかなくてはなりません。しかし、具体的に何をどうすればよいのかがわからない。すなわち、組織として事業の多角化が求められていることは重々承知しながらも、チームが自律的に動くためのマネジメント論が確立されていないというジレンマが、「事業の矛盾」として現代のマネージャーを苦しめているのです。

参考:現代組織におけるマネジメントの役割を捉え直す:マネージャーが向き合う4つの命題が生む矛盾とは?

「事業の矛盾」と向き合うためのキーワード

それでは、どのような理論や考え方が、この「事業の矛盾」をほどく手がかりになり得るのでしょうか。

キーワード(1):組織学習

まずミナベが掲げたキーワードが「組織学習」です。

不確実性がもたらす「わからなさ」と向き合う中では、実践から学びを得て、次に活かすサイクルをきちんと回し続ける、学習の姿勢が特に強く求められます。ただし学習が個人の中に閉じていては、組織的な発展には繋がりません。個人の学びが開かれ、組織的なナレッジとして循環するような「組織学習」の基盤の構築が、自律的に変化に対応する強いチームや組織づくりには必要です。

組織学習をファシリテートする:変化の働きかけが直面するジレンマを創造的に解決する

【お知らせ】6/18(土)10時より、大企業における組織学習の事例を扱ったイベントを開催します。CULTIBASE Lab会員限定ですが、10日間のトライアル期間も設けておりますので、関心のある方はお気軽にご参加ください。イベント終了後も、会員は後日アーカイブ動画をご覧いただけます。

 

▼組織は“学び“でどう変わるのか?:1万人超企業が挑戦する組織学習の実践知
https://www.cultibase.jp/events/10980

キーワード(2):アジャイル型組織・DX

数年前からよく聞かれるようになった、「アジャイル型組織」や「DX」という言葉も、こうした不確実性の時代に対応するための方法として編み出されたものの一つです。仮説に基づいて実践を行い、経験を積み、その結果生じた学習を組織で分かち合いながら、次に実践に還元する。そのサイクルをAgile(俊敏)に回していくで、最初は輪郭のぼやけていた違和感に対する解像度を上げ、より具体的な課題として対処することができるようになるのです。

最近よく聞く「アジャイル型組織」ってなんですか?|CULTIBASE Radio|Management #51
不確実性を乗り越えるチームづくりの流儀:高速な仮説検証を実現する「2つのDX」とは何か

キーワード(3):HRBP(HRビジネスパートナー・戦略人事)

また「不確実性に対処するための取り組みの中心を担うのは誰か?」という観点から、昨今では「HRBP」という概念にも注目が集まっています。HRBPは、人的資源のマネジメントの観点から人ごと・部門ごとに散らばっている知識や資源を一本化する役割を担い、組織内の分断を編み直す存在として、その方法論の探究が進められています。

組織ファシリテーターとしての「HRBP」の役割

講座では、他にも下記のコンテンツも「事業の矛盾」のヒントとして紹介されていました。

▼チーム運営を成功させるにはチーム外に目を向けよ!複数チームを動かすためのリーダーシップ論
https://www.cultibase.jp/videos/10368

▼組織の推進力を高める意思決定のプロセスデザイン
https://www.cultibase.jp/videos/10049

参考:現代組織におけるマネジメントの役割を捉え直す:マネージャーが向き合う4つの命題が生む矛盾とは?

今回の「事業の矛盾」をはじめ、現代のマネージャーを悩ませる様々なパラドックスは、一つの理論や方法論で解決可能なものではありません。そのため、様々な領域から知見を集め、探究的に取り組むこと、そしてそういった取り組み自体を楽しむことが重要になってくるのだろうと感じます。今回紹介したキーワードも最初のきっかけにしてもらえると嬉しく思います。

次回は4つの矛盾の二つ目「現在の矛盾」の概要とキーワードについて解説する予定です。どうぞお楽しみに。


本記事は、会員制オンラインプログラム「CULTIBASE Lab」で開催されたイベント「現代組織におけるマネジメントの役割を捉え直す:マネージャーが向き合う4つの命題が生む矛盾とは?」の内容を一部記事化したものです。90分におよぶイベントの模様は、下記のアーカイブ動画より全編ご視聴いただけます。

https://www.cultibase.jp/videos/11028

執筆:水波洸

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