ミドルマネージャーの行動科学:エビデンスに基づく処方箋

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約95分

キャリアの探究

#ミドルマネージャー
#リーダーシップ
安斎 勇樹
安斎 勇樹
伊達 洋駆
伊達 洋駆

4/16(土)に開催された『ミドルマネージャーの行動科学:エビデンスに基づく処方箋』のアーカイブ動画です。上司・部下間の関係性構築や育成力など、属人性の高いミドルマネジメント上の問題について、エビデンスに基づき対処するための考え方を紐解きました。

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チャプター
00:11 イントロ・本日のテーマについて
11:11 チェックイン・登壇者自己紹介
20:35 「上司サポート」の重要性
30:21 「上司サポート」の副作用
34:41 LMXとは何か?:上司と部下の関係性の質を考える
47:30 ミドルマネジメントの研究知見
56:33 著書『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』に込めた想い
01:07:09 関係性における”共通点”のメリットとリスク
01:11:50 “問題のある部下”といかに接するか
01:21:19 LMXの魅力と限界
01:32:00 クロージング・今後のイベントについて

今週のポイント
・まず、マネージャーの業務の一つである、上司から部下へのサポート(上司サポート)に注目したい。部下は、上司サポートを感じられるほど、業務や会社に対する満足度、愛着が高く、離職しづらいという研究結果がある。上司によるフィードバックやケアを通じた、部下へのサポートの重要性が伺える。
・また、サポートを受けやすい部下と受けにくい部下がいることも明らかになっている。人間は、類似性のある相手を仲間だと感じ、サポートする傾向があるからだ。部下は上司との共通点を見つけることでサポートされやすくなる。マネージャーは、無意識のうちに部下へのサポートに差が生まれていないか、注意する必要がある。
・上司サポートの副作用として、部下に互恵性の感覚が形成され、上司のための非倫理的行動を取る点が挙げられる。こうした行動を避けるため、部下に会社や組織のために働く意識づけをすることが重要だ。
・次に、上司と部下の関係性の質=LMX(leader-member exchange)に着目する。ある研究では、LMXが高いほど、部下の離職可能性が低くなり、業務や会社にポジティブな影響を与えることが明らかになっている。
・ただ、職場内でLMXの差があると、チームのまとまりが失われ、パフォーマンスが下がる。こうした状況を避けるためにも、相対的LMX(職場の平均的なLMXとの距離)が平均以下、すなわち十分に支援ができていないと感じる部下に対し、マネージャーは特別な配慮をする必要がある。
・LMXは、上司部下の関係を交換関係で捉えるという新しい示唆をもたらした。一方、上司部下の二者関係に閉ざしてしまっている点にLMXの限界がある。部下のモチベーションは、上司との関係性だけで変化するものではないことにも留意したい。
・最後に、近年のミドルマネージャーに特化した研究を紹介する。ある研究では、経営者が彼らに能力発揮を促すほど、自発的に提案が生まれやすく、経営の変革が進むことが検証されている。特に、集団主義志向のミドルマネージャーの場合、経営者からの働きかけが有効だ。また、会社への当事者意識が会社への愛着を促し、仕事を改善する行動をとるという研究結果もある。
・マネジメントする上では、勘や経験もエビデンスもどちらも欠かすことができない。重要なのは、単一の経験や勘、エビデンスに頼るのではなく、多様なものに触れた上で統合的に判断することだ。また、判断の前提となる”意図”や”動機”があって初めて、エビデンスや勘、経験を有効に使うことができることを忘れてはならない。

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出演者

安斎 勇樹
安斎 勇樹

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

東京大学大学院 情報学環 客員研究員

1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO/東京大学 特任助教授。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究している。主な著書に『問いのデザイン』、『問いかけの作法』、『パラドックス思考』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』『チームレジリエンス』などがある。

https://x.com/YukiAnzai
https://note.com/yuki_anzai
https://voicy.jp/channel/4331
http://yukianzai.com/

伊達 洋駆
伊達 洋駆

株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役