事業デザインの理論と実践[前編]|CCM総合実践講座

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約42分

企業を営むにあたり、「事業」が重要であることは言うまでもありません。事業は組織にとって収益を生み出すための手段であると同時に、複数事業を展開する場合、それらの事業のシナジーによって、他の企業ではなし得ない新たな価値を社会に届けることが可能となります。

しかしながら、複数の事業を展開する「多角化経営」は、新たな価値創出の可能性を拓く一方で、うまくやらなければ価値の減退(コングロマリット・ディスカウント)を招く「諸刃の剣」でもあります。

自分たちの組織にしか出せない社会的価値を探究するためには、事業づくりの考え方・ものの見方が必要なのでしょうか。

本講座では、株式会社MIMIGURIが提唱する組織づくりを推進するための羅針盤「Creative Cultivation Model(通称:CCM)」の内容をもとに、現代組織に必要な事業デザインの理論をお届けします。

▼CCMの簡単な解説は下記の動画をご視聴ください

【3分解説】Creative Cultivation Model(CCM)とは何か?

【3分解説】Creative Cultivation Model(CCM)とは何か?

▼詳しく知りたい方はこちらのアーカイブ動画をご視聴ください

ヒトと組織に強い経営人材になるための『新時代の組織づくり』

ヒトと組織に強い経営人材になるための『新時代の組織づくり』

スライド:MIMIGURIが提案する「Creative Cultivation Model(CCM)」

シリーズ「CCM総合実践講座」では、このCCMを組織づくりに活用するための理論や、実践上のポイントの専門的な解説をお届けします。今回のテーマは「組織デザインの理論と実践」。前後編にわたって配信します。後編は4/2火公開予定。

CCM総合実践講座のバックナンバーはこちら

CULTIBASE Lecture

「事業デザインの理論と実践[前編]|CCM総合実践講座」のチャプター

00:11 事業デザインの基本理論
25:51 パネルディスカッション:事業デザインを深める4つの問い

「事業デザインの理論と実践[前編]|CCM総合実践講座」のポイント

■事業デザインとは何か?

  • CCMの中で上部に位置する事業デザインは、その名の通り事業をデザインするための考え方であり、(1)社会的価値の探究、(2)事業ケイパビリティの探究、(3)事業構造、(4)ブランドの4つの要素によって構成されている。
  • まずは社会的価値の探究について。CCMが目指す「冒険的組織」の考え方は、どちらかといえば複数事業を展開する多角化経営において特に必要な考え方であり、異なる事業間のシナジーをいかに創出し、社会にどのような価値を届けるのかを考えることがその最初のステップだとされる。
  • 経産省のデータを紐解くと、欧米企業と比較して、日本企業の多くが事業多角化を不得手としていることが指摘されている。ミナベと原は、その背景にはひとつの事業を軌道に乗せてから多角化を検討する日本企業と、最初から多角化によるシナジー創出を念頭に置いた組織づくりに務める欧米企業との意識の違いがその背景にあるのではないかと述べる。

■事業デザインを支える基礎理論(1):分散と修繕

  • また、安斎は従来の事業づくりの主要な考え方のひとつである「選択と集中」について、各事業部が選択と集中を進めた結果、事業間のつながりが希薄になり、シナジーの創出が難しくなることを指摘。特定市場の局所的なシェアの獲得を目指すのではなく、経営陣と事業部長が目指すべき社会のありようについて共通の哲学を持ち、それに対応した事業づくりを推進する「分散と修繕」と呼ばれる考え方が有効だと語る。

※「分散と修繕」の詳細はこちらのコンテンツをご覧ください

“複雑さ”を強みに変える。経営の多角化を実現する「分散と修繕」の組織戦略論

“複雑さ”を強みに変える。経営の多角化を実現する「分散と修繕」の組織戦略論

多角化経営の方策(2)分散と修繕戦略|CULTIBASE Radio|Organization Design #12

多角化経営の方策(2)分散と修繕戦略|CULTIBASE Radio|Organization Design #12

■「事業デザイン」を支える基本理論(2):両利きの経営

  • また、複数事業間でシナジーを生み出すための重要理論のひとつに「両利きの経営」が挙げられる。両利きの経営では、組織の既存のコアケイパビリティを見定め、磨きをかける「深化」と、未来の柱となりそうな事業に実験的に投資する「探索」の両輪を回していくことが大切だとされてる。CCMでは、こうした考え方をベースとしながら、自身のコアケイパビリティを問い直しながら、同時にコアケイパビリティだけに100%投資されるような状況に陥らず、探索にもリソースが咲かれるような事業構造を構築していくことが必要だとされる。

■パネルディスカッション:事業多角化と困難さとは?

  • そもそも事業多角化の困難さを生んでいる要因として、ミナベは「イノベーションのジレンマ」の話を挙げながら、国内の大企業の多くが、過去に一度成功しているからこそ、日々変化する社会の新たな価値観や前提を組み込んでいくことが困難になるケースがよくあるという。また、原が洗い出した課題にいかに優先度を設けるか、という観点について触れたことをきっかけとして、対話的な経営チームのあり方について理解を深めていった。

出演者

安斎 勇樹
安斎 勇樹

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

東京大学大学院 情報学環 客員研究員

1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO/東京大学 特任助教授。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究している。主な著書に『問いのデザイン』、『問いかけの作法』、『パラドックス思考』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』『チームレジリエンス』などがある。

https://x.com/YukiAnzai
https://note.com/yuki_anzai
https://voicy.jp/channel/4331
http://yukianzai.com/

ミナベ トモミ
ミナベ トモミ

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

早稲田大学卒業後、家電メーカー勤務を経て独立。現在は、MIMIGURIが提唱するCCM(Creative Cultivation Model)の理論開発を基盤に、大企業からメガベンチャーまで様々な多角化企業における、経営・組織変革の専門家として自社経営とコンサルティングにおいて実践を進めている。
https://x.com/tomomiminabe
https://note.com/tomomina/

原 申
原 申

原 申X(Twitter) / note
株式会社MIMIGURI 執行役員COO

2005年マクロミル入社。 営業から営業企画、営業部長、人事責任者、PMI、管理本部長、新規事業開発室長など複数の部門を統括。 2014年よりグループ執行役員、ニューロマーケティングのCentan代表取締役副社長に就任。 2019年9月に退任し、製造業の受発注プラットフォームを展開するスタートアップCADDiにジョイン。ビジネスオペレーションリード、営業企画の立ち上げ等を経て、2021年よりHead of HR。その後2年弱で約80名の組織を650名規模まで拡大させ事業のブリッツスケーリングを実現。2023年4月より現職。

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