職場デザインの理論と実践[後編] |CCM総合実践講座

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約30分

職場をつくる

#チーム
#組織開発
安斎 勇樹
安斎 勇樹
小澤 美里
小澤 美里

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職場デザインの理論と実践[前編] |CCM総合実践講座

職場デザインの理論と実践[前編] |CCM総合実践講座

私たちは日々、他者との関わり合いの中で仕事をしています。それは社長をはじめとした経営陣も、ミドルマネージャーも、現場スタッフとして働く若手も変わりません。また、こうした協働の最小単位として、業務を遂行するための「チーム」があり、その「チーム」が働くための場として「職場」があります。多くの人にとって、仕事の満足度ややりがいは、大々的に掲げられる事業計画などよりも、この最も身近な「職場」の業務体制や関係性、雰囲気などによるところが大きいのが実情でしょう。

また、ビジネスパーソンのキャリアや働き方が多様化する昨今において、一人ひとりのパーソナリティを加味しながら「職場」をデザインしていくことの重要性が非常に増してきています。それぞれがどのようなスキルを伸ばし、どんなキャリアを今後歩んでいきたいと思っているのか──すなわち「自己実現」を前提とした職場のデザインが求められているのです。

しかしながら、こうした個人を起点とした職場づくりは一般的にコストが高く、従来の官僚的な組織では忌避されてしまいがちです。また、職場の方針として多様性の尊重が掲げられていたとしても、実際の業務体制がそれに見合ったものになっておらず、失望感を招いてしまうケースもよく見受けられます。

個人の自己実現ビジョンと、組織的な仕事が結びつくには、どのような観点から「職場」をデザインしていくとよいのでしょうか。本講座では、株式会社MIMIGURIが提唱する組織づくりを推進するための羅針盤「Creative Cultivation Model(通称:CCM)」をもとに、「職場デザイン」について講義とディスカッションを通じて理解を深めていきます。

▼CCMの簡単な解説は下記の動画をご視聴ください

【3分解説】Creative Cultivation Model(CCM)とは何か?

【3分解説】Creative Cultivation Model(CCM)とは何か?

▼詳しく知りたい方はこちらのアーカイブ動画をご視聴ください

ヒトと組織に強い経営人材になるための『新時代の組織づくり』

ヒトと組織に強い経営人材になるための『新時代の組織づくり』

スライド:MIMIGURIが提案する「Creative Cultivation Model(CCM)」

シリーズ「CCM総合実践講座」では、このCCMを組織づくりに活用するための理論や、実践上のポイントの専門的な解説をお届けします。今回のテーマは「組織デザインの理論と実践」。前後編にわたって配信します。後編は4/2火公開予定。

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CULTIBASE Lecture

「職場デザインの理論と実践[後編]|CCM総合実践講座」のチャプター

00:11 「自己実現」と「成長」は違うもの?
06:36 「やりたいことがない」メンバーとどう向き合う?
13:08 職場デザインにおけるよい目標設定とは?
20:24 自己実現を支え合う共同体をつくるには?
25:33 組織アイデンティティにチームでどう向き合う?

「職場デザインの理論と実践[後編]|CCM総合実践講座」のポイント

職場デザインに関する前編の講義を踏まえたうえで、後編ではパネルディスカッション形式で、その実践論について深掘りをしていく。

■「自己実現」と「成長」は違うもの?

  • 「自己実現」は職場デザインにおいて重要な要素のひとつである。一般的に同じような意味の言葉としては「成長」が用いられることが多いようだが、「自己実現」と「成長」にはどのようなニュアンスの違いがあるのだろうか。
  • 小澤は「自己実現」は、「成長」と違い、当人の内的動機や衝動の有無を前提としている点を指摘する。自己実現はあくまで当人自身が実現したいと思っていることを実現するものであり、たとえばただ上司から与えられるタスクをこなすだけでも、スキルなどの成長をえることはできるが、それは自己実現とは異なっている。
  • 自己実現なき成長はサステナブルではなく、また、抑圧を強いることも多い。与えられたタスクをある種の「修行」として捉え、実践することが重要なこともあるものの、それが中長期的な自分のキャリアにどう紐づいているのかを定期的に振り返り、意味付けしていくことが肝要である。

■「やりたいことがない」メンバーとどう向き合う?

  • 自己実現に関してもうひとつよくあるお悩みが「やりたいことは特にない」と部下に言われてしまうというケースだ。安斎は、自己実現像を突然訊かれてもすぐに答えられないのも当然であり、日常的な対話の中でゆっくりコミュニケーションを取ったり、普段の仕事ぶりを丁寧に観察したりしながら、芽が出るまで焦らず地道にコミュニケーションを取ることが大切だという。
  • また、「やりたいことがない」問題は、重い責務を担い、またスキルも身についてそれをこなす実力もついてきた事業部長クラスにこそ起きやすい。与えられたミッションをこなすことも大切だが、自身の自己実現のあり方について振り返ってみる視点は、キャリアのどのフェーズであれ、重要にしたいところだと安斎はいう。

■職場デザインにおけるよい目標設定とは?

  • 次の問いは「目標設定」について。小澤は、一人ひとりに対して、事業を推進し、組織の課題解決の解消に繋がり、また自己実現に結びついているような、”二枚抜き・三枚抜き”の目標を立てることができれば理想的だという。
  • そのためには、まずメンバーと対話し、どんな自己実現のイメージを持っているのかを把握し、また、自分からもそのメンバーに対して組織がどのような期待(ミッションの達成)をかけているのかを語りながら、コミュニケーションを取ることが大切だという。そしてそのためには、自分たちが所属するチームだけでなく、その上位に位置するチームやステークホルダーの方針についても理解を深めることが重要である。もしそれができなければ、自身のスモールチームにとってのみ重要な独りよがりな目標設定になってしまい、組織の上位との接続ができず、全社的なインパクトを起こすことが難しくなってしまうからだ。
  • こうした点について安斎は、自己実現のあり方と組織からの評価(期待)を共有する場として、半期ごとなど、定期的な振り返り(リフレクション)の機会を設けることが有効だと述べる。

■自己実現を支え合う共同体をつくるには?

  • 組織の状況も、自分自身の内面も、常に変化し続けるものである。こうした中で、一人きりでそうした変化を捉えきるのは困難であり、結果的に適応課題につながってしまうことも多い。だからこそ、チームや共同体として情報を分かち合いながら個人の自己実現を支援していくことが大切となる。
  • 安斎は自己実現を前提に利他的にサポートする共同体の重要性について触れながら、変化に対して性急に答えを出すのではなく、人間らしく迷いながらトライし続けることが重要だという。また、共同体の関係をただ”ぬるい”だけのものにするのではなく、挑戦的であり、なおかつその挑戦がサステナブルにし続けられるような環境をつくることが求められると語る

■組織アイデンティティにチームでどう向き合う?

  • 職場デザインの要素のひとつである「組織アイデンティティ」について考える際には、まずは前提の情報として、自分たちの事業が何を目指しているのかを把握したうえで、それを成すために、自分たちのどんな素養をどのように活かしていけるかを語り合うことによって、理解が深まる。
  • 整合性を取ろうとすること自体を、個人やチームのポテンシャルについて考え、語り合い、発揮する機会づくりとする姿勢が重要である。

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出演者

安斎 勇樹
安斎 勇樹

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

東京大学大学院 情報学環 特任助教

1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO/東京大学 特任助教授。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究している。主な著書に『問いのデザイン:創造的対話のファシリテーション』、『問いかけの作法:チームの魅力と才能を引き出す技術』、『パラドックス思考 ─ 矛盾に満ちた世界で最適な問題解決をはかる』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』などがある。

https://twitter.com/YukiAnzai

http://yukianzai.com/

小澤 美里
小澤 美里

京都工芸繊維大学工芸学部、グロービス経営大学院経営研究科卒。グラフィックデザイナー、webデザイナー、ディレクターを経てブランディング、デザインを主とし起業(共同経営)。その後webサイト制作・システム開発会社にて執行役員・COO/CDOを務め、デザインプロセスを用いて経営課題の解決に取り組む。
株式会社MIMIGURIでは組織戦略策定を行い、財務資本に加え人的資本・社会関係資本・知的資本が循環する組織の実現を目指している。