組織変革の手がかり |CCM総合実践講座

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約78分

環境の変化が激しい昨今、以下のような状況から「組織変革」に取り組む企業が増えています。

・技術革新や競争環境の変化から、ビジネスモデルが陳腐化した
・企業文化や風土が時代にそぐわないものになりつつある
・組織規模や新規事業の拡大に伴い、組織体制の再編を行う必要がある

など。他方で、組織変革には大きなリスクが伴います。大きな変化が従業員に不安を与え、結果的に優秀な人材が流出してしまったり、新たな戦略や体制が従来の文化に馴染まず、組織内に分断を生じさせてしまったりと、組織崩壊の引き金になってしまったケースも数多存在します。

理想を現実に近づけるための組織変革を少しでも成功に導くためには、どのような観点に留意する必要があるのでしょうか。本講座「組織変革の手がかり」では、組織変革を経営層主導のトップダウン・アプローチと、現場主導のボトムアップ・アプローチの2種類にわけ、それぞれにおいて成否を分けるポイントとその対処法を解説します。

・組織変革の必要性を感じているが、組織崩壊は絶対に避けたい経営層・経営幹部
・今の組織を変えたいが、どこから手をつければよいかわからないミドル層や現場層のメンバー
・制度改革に着手したい人事・組織開発担当者
・事業の急激な拡大を見据える事業部門担当者

などの方には必見の内容をお届けします。ぜひご覧ください!

▼CCMの簡単な解説は下記の動画をご視聴ください

【3分解説】Creative Cultivation Model(CCM)とは何か?

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▼詳しく知りたい方はこちらのアーカイブ動画をご視聴ください

ヒトと組織に強い経営人材になるための『新時代の組織づくり』

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スライド:MIMIGURIが提案する「Creative Cultivation Model(CCM)」

シリーズ「CCM総合実践講座」では、このCCMを組織づくりに活用するための理論や、実践上のポイントの専門的な解説をお届けします。今回のテーマは「職場デザインの理論と実践」。前後編にわたって配信します。後編は4/23火公開予定。

CCM総合実践講座のバックナンバーはこちら

「組織変革の手がかり|CCM総合実践講座」のチャプター

00:11 組織変革とは何か?
07:42 組織変革のトリガーとスコープ
19:18 組織変革のアプローチ(1):主体と巻き込み
32:52 組織変革のアプローチ(2):動機と対象
53:38 組織変革のアプローチ(3):進め方とリスク

「組織変革の手かがり|CCM総合実践講座」のポイント

  • これまで「CCM総合実践講座」では、組織づくりの定義を「組織の構成要素を整合・変化させ続けることで、社会的価値の探究と自己実現の探究を両立させること」として、CCMをそのためのツールとして活用するための理論や実践上の観点について解説してきた。今回は「組織変革」をテーマとして探究していく。
  • 前提として、日々の組織づくりができていれば、大幅な組織変革は必要ない。しかし、理想と現状の乖離が激しい場合には意識的な変革が求められる。今回の講義では組織変革を「組織の望ましい状態に向けて新しい整合の変化へ変化させ、その状態を定着させること」とした上で、一時的な変化に終わるのではなく、組織変革以後も緩やかな変化を許容していくことが大切だと安斎は語る。
  • 組織変革のきっかけとして、安斎は組織の中のズレの存在を上げる。特に、「外部環境とのズレ」「理想と現実のズレ」「内部要素間のズレ」の3つの観点に着目することで、組織変革の必要性に気づきやすくなるという。基本的に組織というものは常に変化し続けるものであるため、ズレが完全になくなることはないが、致命的なズレにまで発展しないうちに整合・調整を行うことが大切である。
  • また、組織変革といってもどのズレを対象とするのかなど、目的によって様々な方略がある。代表的な分け方としては、経営陣によるトップダウンのアプローチと、現場起点のボトムアップのアプローチの2種類があり、それらの特徴を比較すると、以下のように整理できる。
  • トップダウンアプローチの最初のステップでは、まずキーとなるミドルマネージャーを巻き込んでいけるかどうかが鍵だと安斎は言う。そして、そのキーマンを選ぶ観点として、ミナベは「不確実性の高い状況でもリーダーシップを発揮できるか?」と「その人の動機が”善”であるか?」の2点を挙げる。他方でボトムアップアプローチの場合は、自分たちだけのクローズドな場に閉じるのではなく、そのプロセスや成果が人事/経営の視界に入るように展開していくことが重要だという。
  • 続いて変革の動機について。安斎は動機の種類を下記の図を用いて整理し、下部の「ピンチ」や「リスク」などの危機意識を起点とした変革は、説得的だが持続性がないことに注意する必要があると言う。
  • 他方で中長期的に活きる変革を起こすためには、仮にピンチだとしても、前向きなストーリーに置き換えながら語っていくことが重要だという。そうした方針にもと、これらの4要素のどれかに過度に偏るのではなく、好奇心と多様な視点を持ち、変革と動機の目線を合わせることが重要となる。
  • 変革の起点として、事業構造と組織構造はどちらから先に着手すべきだろうか。ミナベは企業の状況次第だとしながらも、原則として、事業構造が確立されていなければ、組織構造の変革も成功しないという。ただし、例えばスタートアップ企業などの場合は、事業の状況がまだ曖昧で検証中の事柄も多い。そうした場合には、まずは組織の面から不確実性を減らすために、組織構造の変革に着手する場合もある。
  • また、本当は組織の構造に問題があるにも関わらず、その結果である事業の成果が出ていない事態だけを表層的に捉え、事業構造に問題があると勘違いしてしまうケースもあることに注意する必要があるとミナベは言う。

▼事業デザインの理論と実践

事業デザインの理論と実践[前編]|CCM総合実践講座

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  • ボトムアップアプローチの場合、どこから組織変革に着手すべきなのだろうか。安斎は、まずは自身にとって一番身近なスモールチーム(職場)の変革から始めることがひとつの手だと述べる。もしくは、あくまで最初の一手から組織に働きかけたいという場合には、中途半端に経営に石を投げるのではなく、実験的な試みなどを経営陣に見える形で展開しながら、組織に新しい可能性を提案したり、あるいは組織が見据える方針をサポートしうるものであることを示すことが効果的だという。
  • 続いて「組織変革の進め方」について。ボトムアップ・アプローチの場合は、上述の通り、まずは身近な職場で新しい”流行”をつくり、経営が新しい可能性を感じさせる動きが重要になる。対してトップダウンアプローチの場合はプロジェクト設計やそのマネジメントが成否を大きく左右する。よく起こるケースとして、経営が現場に何も伝えずにクローズドに物事を進めてしまうことが挙げられるが、そうするとミドルや現場視点では何が今後起こるのかがわからず、大きな不安や混乱を引き起こしてしまう。そうならないように、組織変革で何を成したいと考え、どう進めていくのかを、まずはミドルマネージャー陣に共有・対話をし、ミドルから現場に働きかけていもらえるような状況をつくることが肝要である。そのため経営には、綿密なプロジェクト設計やストーリーテリングに注力することが求められる。
  • 最後にリスクの話題。組織変革が抱える代表的なリスクとして、トップダウンアプローチでは「精神的不整合による崩壊」が、ボトムアップアプローチでは、「組織からの逸脱・徒労」が挙げられた。こうした状態に陥らないようにするために考慮すべきポイントとして、ミナベは再び「動機が善か」どうかと、加えて「当事者が場に立っているか」という観点の二つを重要視しているという。どちらにせよ、組織がどう良くなるのかを純粋な気持ちをしっかり伝え、かつ現場解像度を高めるためのコミュニケーションの姿勢と、積極的にステークホルダーを巻き込み、各人が持つネットワークに働きかけることが必要だとされる。

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出演者

安斎 勇樹
安斎 勇樹

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

東京大学大学院 情報学環 客員研究員

1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO/東京大学 特任助教授。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究している。主な著書に『問いのデザイン』、『問いかけの作法』、『パラドックス思考』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』『チームレジリエンス』などがある。

https://x.com/YukiAnzai
https://note.com/yuki_anzai
https://voicy.jp/channel/4331
http://yukianzai.com/

ミナベ トモミ
ミナベ トモミ

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

早稲田大学卒業後、家電メーカー勤務を経て独立。現在は、MIMIGURIが提唱するCCM(Creative Cultivation Model)の理論開発を基盤に、大企業からメガベンチャーまで様々な多角化企業における、経営・組織変革の専門家として自社経営とコンサルティングにおいて実践を進めている。
https://x.com/tomomiminabe
https://note.com/tomomina/