『社会を動かす「コミュニティ」のデザイン』。今回も引き続き、スターバックス コーヒージャパンの立ち上げプロジェクトを率いた梅本龍夫さんをゲストに迎え、コミュニティが「どのように生まれ、動き始めるのか」という“立ち上げのプロセス”を軸に話を深めます。
近年、人々が集い、学び合い、共に成長していく「場」のあり方が改めて問われています。家庭(ファーストプレイス)や職場(セカンドプレイス)では、役割や立場が固定されやすく、本音の対話や価値観の往復が生まれづらい状況が続いています。その中で注目されるのが、役割からいったん解放される「サードプレイス」という概念です。
サードプレイスは、個人が安心して自己を表現し、多様な他者と関係を結ぶことができる“非公式の公共圏”を指します。スターバックスは特に、地域交流の場というよりも「自分の世界に集中するためのマイプレイス」として人々に受け入れられてきました。梅本さんは、かつて企業(セカンドプレイス)が担っていた共同体としての機能が薄れてきた今、日本社会には改めて「公共圏における関係性の再構築」が必要だと指摘します。
ここで鍵となるのが「コミュニティ・オブ・プラクティス(実践共同体)」です。これは、共通の関心や実践を軸に、互いに学び合いながら共に成長するコミュニティのこと。日本の製造現場に代表されるような、「肩を並べて働きながら、知が自然に循環する場」に着想を得た考え方でもあります。実践共同体は、個々の目的や価値観を接続し、ゆるやかに育ち続ける「学びの生態系」として機能します。
では、そのようなコミュニティとはどのように始まるのでしょうか。梅本さんは「三人で始める」ことを提案します。役割を固定せず、フラットに補い合いながら、少しずつ「共通善」の物語を紡いでいく。大きな仕組みよりも、丁寧な関係性の編み直しこそが、持続的なコミュニティ形成の基盤となるのです。
【こんな方におすすめ】
- 組織を超えた協働や共創プロジェクトを推進するリーダー
- 企業・行政・学校・NPOの連携を設計する立場の方
- 社会的事業を構想し、倫理や共通善を基盤に動きたい実践者
- 「越境リーダーシップ」や「ピープルビジネス」の思想に関心をもつ方
CULTIBASEはこれまで、企業の組織開発や人材育成の知見をもとに、組織内に潜むナレッジを掘り起こし、理論と実践を架橋してきました。そして今期、本シリーズ『社会を動かす「コミュニティ」のデザイン』を通して、新たな知見を探究していきます。
チャプター
00:00:36 前回のおさらい
00:01:06 人を動かす共通善はどうデザインする?
00:12:58 ソーシャルライフの三態「サードプレイス論」
00:20:18 共通善の実践(2)対話という迂回路を作る
00:24:16 共通善の実践(3)多様性を活かす
00:29:44 多様な価値観を束ねる鍵は共通のビジョン
00:33:58 多様な人をまとめるファシリテーターはどうやって生まれる?
00:40:04 多様性を活かす「コミュニティのはじめかた」



