人的資本経営の社会背景

2024.01.09/26

知識経済の時代とも呼ばれる現代においては、人を活かす組織づくりの重要性がますます増しています。激しく変化する市場環境への適応やイノベーションの停滞、人材の不足など、単純な技術だけでは解決の難しい課題に対応するには、組織内の人同士の連携力を高める施策が不可欠です。

こうした組織づくりにおいて「人」を重要視する風潮を象徴するものとして、昨今では「人的資本経営」というキーワードが注目を集めています。特に、2022年5月に公開された人材版伊藤レポート2.0は、「人的資本経営という変革をどう具体化し、実践に移していくかを主眼と、それに有用となるアイディアを提示するもの*」として大きな話題を呼びました。

*参考|「人材版伊藤レポート2.0」を取りまとめました(経済産業省)

しかしながら人的資本経営は、それ自体がやや複雑で、誤解されやすい概念でもあります。そのため、実際に実務に人的資本経営を導入するにあたって次のような声をよく耳にします。

・要するに「人に優しくする」ってこと?
・ミッション、ビジョン、バリューを作ればいいってこと?
・従業員の研修を充実させたり、資格取得を支援すればよいってこと?

本動画では、このように曖昧な理解のままに使われがちな「人的資本経営」という概念について、

・なぜ人的資本経営がキーワードとして流行しているのか?
・そもそも人的資本経営とは何か?
・人的資本経営について考えるべき論点は何か?

の3つのトピックスを中心に、その背景と基本的な知識を30分程度の講義形式でお届けします。

人的資本経営という言葉について理解を深めたいという方はもちろんのこと、昨今の組織づくりの風潮について知りたい方、人を活かす組織づくりに関心のある方などにおすすめのコンテンツです。1/9公開。どうぞお楽しみに!

また、1/23には、法政大学教授・石山恒貴先生をゲストにお招きして、「人的資本経営はバズワードなのか?」をテーマとした対談動画を公開します。こちらは講義ではなくディスカッションを中心として、より最先端の知見に触れられる内容となっています。ぜひ合わせてご覧ください!(ページ準備中)

■番組「DIGITIONARY」とは?
DIGTIONARYは、組織論や経営学、学習論にまつわる”特定の概念”について探究する番組。番組名は「Dictionary(辞書)」と「Dig(掘る・探究する)」を掛け合わせた造語で、さまざまなテーマについてアカデミックの知見を深く掘り下げながら、現代組織の実情と照らし合わせた新たな解釈とともに解説します。

パーソナリティ

西村 歩(株式会社MIMIGURI リサーチャー(企業専属研究職))

東京大学大学院情報学環客員研究員。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。実践研究方法論が専門家。現在はコンサルティングファームに内在する実践知の形式知化やナレッジマネジメントに関する研究活動に従事。電子情報通信学会HCGシンポジウム2020にて「学生優秀インタラクティブ発表賞」、電子情報通信学会メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎研究会にて「MVE賞」を受賞。

パッケージ

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